- 2011-11-03 (Thu) 08:53
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米南部を代表する作家、ウィリアム・フォークナーは1897年にミシシッピ州で生まれ、生涯の大半をオックスフォードで暮らす。1949年にノーベル文学賞を受賞。
そのオックスフォードにやっとこ到着した。苦労して来た甲斐があった。オックスフォードはこれまでに私が訪れた作家ゆかりの地でまず、ナンバーワンの地だ。町に歴史というか温もりが残っている。ダウンタウンを歩く人がおり、町がまだ「息づいて」いる。全米でOle Missとして知られるミシシッピ大学を抱えており、キャンパスと町が一体化しているような感じだ。大学の愛称「オール・ミス」も「オールド・ミス」とだぶってユーモラスに聞こえる。
アメリカは当然のことながら、イングランドの地名が全土に見られる。オックスフォードもそうだ。面白いのは、地元の人々はここをオックスフォードと命名した時、そう命名すればやがて大学が「やって来る」という願いからそうしたとの由。事実、人々の願いがかない1848年にミシシッピ大学がこの地に開学した。
フォークナー自身は南北戦争からだいぶ歳月が流れてこの世に生を受けた男だが、彼の作品の中には南北戦争が南部に与えた陰が色濃くうかがえる。
例えば1932年に刊行された “Light in August” (邦訳『八月の光』)。主要な登場人物は、黒人の血が流れているのではないかという恐れから屈折した思いを抱えて育った白人の男クリスマス、地元の人々からは「外国人」扱いされる北部出身で黒人のために活動する中年の白人女性バーデン、南北戦争で戦死した祖父や結婚後に妻を自殺に追い込んだ過去にさいなまれ、世捨て人のように暮らすハイタワー、戻って来ない男を追ってアラバマ州から旅に出た身重の少女レナ、そのレナに一目惚れして出産から赤ん坊の父親との引き合わせなどに奔走するお人よしの男バイロン。
南部に住む白人が北部の同胞を当時どう見ていたかはバーデンに関する次の記述でうかがえる。She has lived in the house since she was born, yet she is still a stranger, a foreigner whose people moved in from the North during Reconstruction. A Yankee, a lover of negroes, about whom in the town there is still talk of queer relations with negroes in the town and out of it, despite the fact that it is now sixty years since her grandfather and her brother were killed on the square by an ex slaveowner over a question of negro votes in a state election.(彼女はここで生まれたのだが、周囲の人々には依然よそ者であり、南北戦争後に北部からやって来た外国人の一人と見なされていた。つまりヤンキーであり、黒人を愛して厭わない白人だった。彼女は町に住む黒人や町外の黒人とも奇妙な関係を続けていると噂の対象ともなっていた。黒人の参政権を巡り、彼女の祖父と兄が町の広場で昔奴隷を所有していた男から殺害されてから60年の歳月が流れていたにもかかわらずだ)
(写真は、オックスフォードの町の景観。1864年には北部軍により焼かれている)
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