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デッドソックス(Dead Sox)

  • 2011-09-30 (Fri) 06:45
  • 総合

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 ボストン・レッドソックスのプレーオフ進出はならなかった。それにしても劇的な終幕となった。28日夜のナイトゲーム。レッドソックスは東地区最下位のボルティモア・オリオールズと対戦し、3対2で1点リード。9回裏、抑えのエースが気迫の連続三振を奪い、2死までこぎつけていた。同率で並び、ワイルドカード争いをしているタンパベイ・レイズは既にプレーオフ進出を決めている東地区1位のニューヨーク・ヤンキースと対戦、8回表まで7対0で苦戦を強いられていた。ニューイングランドの人々は誰もが、レッドソックスのプレーオフ進出を確信していただろう。
 ところがである。抑えのエースがここから手痛い3連打を浴び、あっという間に逆転を許し、屈辱的さよなら負けを喫したのである。しかも、最後はレフト前のライナーをレフトの選手が一旦グラブに収めながら、ボールをこぼすという拙いプレーが命取りとなった。このレフトを守る選手は高額のトレードで入団したベテランだが、それに見合う活躍をしたとは言えず、ゲーム終了後、ファンや地元メディアから非難の矢面に立たされていた。
 これに比べ、タンパベイは8回裏から奇跡的な大逆転を演じた。8回裏に6点を返して、最終回にツーアウトからホームランで同点として、12回裏に再びホームランが出てさよなら勝ちを収めた。さよならホームランはレッドソックスがさよなら負けした直後に飛び出した。野球大好きで大リーグファンの私にはこたえられない一夜となった。
 私はボストンのダウンタウンのバーにいて、最初の数イニングを見て、タンパベイが大量失点をしていることもあり、レッドソックスが勝てば良し、負けても29日にワイルドカードの決定戦に出る権利だけは確保するだろうと思いながら、郊外の宿に帰るため、地下鉄の駅に急いだ。バーのお客もこの夜だけはヤンキースに声援を送り、上機嫌だった。ホテルに戻ってテレビをつけてみると、上記の展開となっていた次第だ。
 前兆はあった。レッドソックスは1点リードした後も再三好機を迎えていたが、拙い走塁やワンアウトの3塁ランナーを返せないなどの詰めの甘さで、あれ大丈夫かな、このチームは、と何度か思っていたからだ。少なくとも、プロ野球がお手本とするような好プレー続出のゲームではなかった。レッドソックスは負けるべくして負けたと言えるだろう。
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 当然のことながら、一夜明けた木曜日のこの日、地元メディアでは「大リーグ創設以来の歴史的メルトダウン」だの「壮大なる崩壊」などと、地元チームの惨敗を憂い嘆く大合唱となった。特にレッドソックスに代わりワイルドカードを手にしたタンパベイのプレーヤーの報酬がレッドソックスに比べ格段に低いことも彼らの怒りに火をつけたようだ。
 大リーグは162試合の長丁場ながら、28日に全30チームが全ゲームをきれいにそろって終了した。この辺りはプロ野球には真似のできない芸当だ。
 (写真は、レッドソックスの敗退を報じる29日付けのボストングローブ紙の一面とスポーツ面。チーム名にひっかけて、Red Sox ならぬ Dead Sox とうたっている。立ち寄った同じニューイングランドのコネティカット州ハートフォードの新聞も同じ論調だった)

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