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J.D.サリンジャー(J.D. Salinger)①

  • 2011-09-19 (Mon) 07:04
  • 総合

 サリンジャーと言えば、『ライムギ畑でつかまえて』だろうか。英語のタイトルは ”The Catcher in the Rye” という。私ははるか昔の学生時代に英語科の後輩がこの作品を卒論のテーマに選んでいることを知っていたが、実際に読んだことはなかった。ふと思い立ち、読んだのはつい数年前のような気がする。
 こんなに面白い作品だとは思わなかった。抱腹絶倒といったら言い過ぎだろうが、思わず吹き出したくなるシーンが幾度かあった。絶対に今回の旅の中に含めたかった小説だ。
 物語は、ニューヨークに住む16歳の少年、ホールデン・コールフィールドが自分の人生を読者に語りかける形で進んでいく。冒頭のシーンではホールデンが成績不振で四つ目の高校を退学することになったため、恩師の一人、スペンサー先生を自宅に訪ね、別れの挨拶をする。この老齢の恩師はホールデンの話にうなずきながら聞いていたが、そのうちに鼻をほじりだす。ホールデンはさすがに愉快には感じない。
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 Old Spencer started nodding again. He also started picking his nose. He made out like he was only pinching it, but he was really getting the old thumb right in there. I guess he thought it was all right to do because it was only me that was in the room. I didn’t care, except that it’s pretty disgusting to watch somebody pick their nose.
 (スペンサー老は再びうなずき始め、それから鼻をほじりだしたんだ。鼻をつねっているだけだかのように装っていたが、実際には自分と同い年の親指を鼻孔に入れていたんだよ。部屋の中にはいたのは僕だけだったので、先生は許される行為だと思ったのだろう。僕はまあどうでも良かったが、人が鼻をほじるのを目の当たりにするのはあまり気分がいいものではないよな)

 次のシーンでも本当に声に出して笑ってしまった。ホールデンが退学処分を受けた高校を去って、ニューヨークの実家に帰る前に繁華街に遊びに行く場面だ。ホールデンは泊まったホテルのバーで有名芸能人見たさに西海岸のシアトルからやって来た、あまり愛想の良くない3人のお姉ちゃんたちと、退屈しのぎにダンスをしようと悪戦苦闘する。
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 I danced with them all – the whole three of them – one at a time. The one ugly one, Laverne, wasn’t too bad a dancer, but the other one, old Marty, was murder. Old Marty was like dragging the Statue of Liberty around the floor. (僕は彼女たち三人全員と一人ずつ踊った。ラベルネという名の一人だけ見てくれの良くない子は踊りはそう悪くなかったが、もう一人のマーティーという子はいやはや凄かった。彼女と踊るのは、自由の女神像をダンスフロアで引きずり回すようなものだったよ)
 (写真は、これがニューヨーク港内のリバティ島にそびえ立つ、本当の「自由の女神像」(Statue of Liberty)。合衆国独立100年を記念してフランスが寄贈。アメリカの自由と民主主義を象徴している。台座から上の像自体の高さだけでも46メートル。これを引きずり回すのは大変だ。フェリーで訪れる観光客にも連日大人気)

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