- 2011-08-28 (Sun) 03:42
- 総合
シカゴを出て、東のワシントンに向かおうとしている。この国の首都だ。ここも初めて足を運ぶ。宿は例によって、ネットで格安ホテルを探し、電話をかけて、なんとか自分の考えている予算で泊まれるところを見つけた。
実はシカゴに来た直後はホテルに泊まっていたが、この一週間近く、ハンニバルで知り合った大学教授のラリーの家に泊めてもらっていた。「いつでも来てくれ。いつまでいたっていいよ」と言ってくれていた。節約旅行を心掛けている身にはまことにありがたい。彼が住んでいるのはシカゴから少し西に入ったオークタウンという市。CTAという列車がシカゴの中心部まで便良く走っていて、シカゴ郊外という感覚の閑静な住宅街だ。文豪アーネスト・ヘミングウェイが生まれた地として、また建築家フランク・ロイド・ライトが住み、彼がデザインした建築物が数多くあることで知られている。ライトは日本の帝国ホテル新館の設計でも知られる近代建築の巨匠だ。
(ヘミングウェイについてはやがてフロリダ半島の先にあるキーウエストを訪問するつもりだが、オークパークにある彼の博物館でも作家の人生の一端に触れることができた)
ラリーは大学で看護学を教える妻のジュディと彼女の病身の父親トムとの3人暮らし。トムはがんの治療で全米で名の知れた医師だったが、87歳の今はパーキンソン病を患い、車いすでの生活。私とほぼ同世代のラリー夫婦の子供2人は巣立っており、3人で仲良く暮らしている。二人とも働いているので、日中、それに夜間も専門の介護士が家に来て、トムの世話をしていた。ラリーは「トムはユーモアもあり、頭も良く素晴らしい人格者。一緒に生活していていろいろ学べることばかりだよ」と語る。こういう家庭があるのもアメリカらしくていい。
ところで、ワシントンを含む東海岸は今、大きなハリケーンが襲来しているとテレビやラジオが報じている。何でも今年の第1号とか。アイリーンという名前が付いている。台風が太平洋上をわが故郷宮崎に向かっている時は、パソコン上に「念」を飛ばして、その進路を「妨害」していたが、さすがにここでハリケーンにまで相手する気にはなれない。
日曜のお昼過ぎにアムトラックでワシントン入りする予定だが、まさにそのころ、ハリケーンが近くに上陸するか通過しているはずだ。大きな被害が出ないといいが。
今年か去年か忘れたが、福岡で時々投宿しているホテルにチェックインしようとしたら、「嵐が来ているんで、空きがないんです。申し訳ないんですが・・・」と丁重に断られたことがある。「え、そうなの。あれ、知らなったな。大きいのが来てるの?」「今では毎年恒例になっているみたいなんですよ」「いや、それは台風は毎年、来てるだろうけど・・・」「あのお、人気のあるアイドルグループのことなんですけど・・・」「あ、そおう・・・」
おあとがよろしいようで。
(写真は、オークパークに残っているヘミングウェイの生家。彼はこの家で生まれ、高校時代までをオークパークで過ごしており、すぐ近くにはヘミングウェイ博物館もある)
- Newer: フィラデルフィアへ
- Older: セオドア・ドライサー(Theodore Dreiser)⑤