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英語でさるく 那須省一のブログ

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senseless killing

 アメリカでまた警察官を狙った銃撃事件が起きた。今度は警官6人が撃たれ、3人が死亡。射殺された銃撃犯は黒人だった。事件があったのは南部ルイジアナ州の州都バトンルージュ。ここでは今月5日に白人警官が黒人男性を射殺する事件が起きており、黒人社会から猛反発を受けていた。その報復のように見える。
 銃撃事件で一般市民が死傷する事件が絶えないアメリカでもこのところの銃撃事件は異常だ。私はバトンルージュには行ったことがないが、近くのニューオーリンズには『アメリカ文学紀行』の旅で足を運んだ。歴史的に多人種の市民が共存し、街の至るところに音楽があり、美味い料理でも知られる居心地のいい土地だった。
 CNNを見ると、射殺された一人はモントレル・ジャクソンという名の黒人警官。CNNによるとジャクソンさんは5日の事件後にフェイスブックに、黒人警官であることの葛藤や地元の町、人々への愛着の念を切々と綴ったメッセージを書きこんでいる。私の印象に残ったのは次のくだりだ。“I swear to God I love this city, but I wonder if this city loves me. In uniform I get nasty, hateful looks and out of uniform some consider me a threat.”(神に誓って言うが、私はこの町が大好きだ。この町が私をそう思ってくれているかどうかは自信がない。制服を着ている時には嫌な憎しみに満ちた目で見られ、制服を脱ぐと今度は危険人物ではないかとあやしむ人々がいる)
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 ケーブルテレビで偶然見つけた放送大学テレビというチャンネルの「韓国語講座」が全15回の放送日程を終えた。印刷教材(教科書)なしで毎週土曜日深夜、45分の講座を一心に視聴した。
 最終回の講座で番組の末尾に講師の大学教授(日本人)とアシスタントのネイティブスピーカー(韓国人)二人の簡単なおしゃべりが流された。韓国人のお話は字幕があって助かったが、面白いと感じたコメントがあった。それは女性アシスタントが次のように語ったことだ。来日して日本語を学んで何か変化があったかというような問いに対する返答だったかと思う。彼女は来日当初は日本語が分からず苦労したが、日本語を学ぶにつれ、漢字の理解が深まったという。それで韓国に帰国した際などに向こうの友人たちと語らっていると、自分の漢字力が友人たちにうらやましがられ、鼻が高いとにこやかに語った。
 それで思い出した。3月だったか韓国の統営を訪ねた際に、豊臣秀吉が送り込んだ水軍を撃退した、救国の名将、李舜臣イスンシン将軍の銅像が立つ公園を探したことがあった。その時に20代の若者が歩いていたので、彼に助けを求めたが、彼はガイドブックの「李舜臣将軍銅像」という漢字を見せても首を傾げるだけだった。漢字だけでは祖国の英雄「이순신イスンシン」だと分からなかったのだ。釜山大学では自分自身の名前を漢字で書かせるとちょっと手間取った女子学生もいていささか驚いた。
 ハングル文字一辺倒の教育を受けていれば、韓国の若者が漢字が読めなくなるのは当然の帰結だろうか。とすると、彼らが中国語を学ぶ時には私が感じている以上の難しさを味わっていることになる。このあたりのことも次に釜山を訪れた際に誰かに尋ねてみたい。

a real pro

 開け放った窓辺で風鈴が涼やかな音色を響かせている。セミの声もかまびすしいが、慣れてくると、全然気にならないから不思議だ。今日は蒸し暑さをまだ感じない。こんな感じで夏が続けばいいのだが、蒸し暑さが本格化するのはこれからなのだろう。「蒸し暑い」は韓国語では무덥다ムドプタ。何となく語感が蒸し暑そうだ。
 凡夫の身には日々の小さな発見がありがたい。最近よくのぞくようになった魚屋さんがあって、小さい店ゆえにちょっとしたことを尋ねたりしている。数日前にも鮭を買った際にレジの女性が「小麦粉で揚げると美味いですよ」みたいなことを言う。「恥ずかしながら、小麦粉ってまだ使ったことがないんですけど」「コンビニで売ってますよ。粉を振りかけて油で揚げるだけのことです。簡単ですよ」「どれぐらい火にかけるの?」「強火で裏表5分も揚げれば十分ですよ」「そう。じゃあ、やってみようかな」って感じの会話が続いた。
 それでコンビニで小麦粉(薄力粉)を購入。魚の上から軽く振りかけ、フライパンで揚げてみた。なるほど。これまでとは一味違った焼き上がりとなった。醤油を垂らして食してみると、悪くない! これでまた一つレパートリーが増えた。
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 全英オープン。英語だとBritish といった地名さえ不要で、The Openで広く通用するぐらい、英国人が誇りとする由緒あるゴルフの祭典だ。日本人プロも少なからず出場していたようだが、上位争いができた選手は皆無だった。野球の世界では大リーグでもそこそこ活躍できる選手がいるが、プロゴルフでは世界の壁は厚い。
 松山英樹選手をずっと応援していたが、最近はどうも不調のようだ。全英オープンも予選落ちした。彼のプレーを見ていて残念に思うことがある。正直に書くと、彼をこれからも応援する気が失せつつある。それはドライバーやアイアンショットを放った直後にそれが良くないショットだったりすると、すぐに彼の仕草に出るのだ。落胆のメッセージが全身から発せられる。もちろん、他のプロもそういう場合は似たような行動に出るが、松山選手の場合はそれが極度に出ているような気がする。応援していてがっかりするのだ。プロなら見ているファンのことまで考えて見る気を失わせるような態度は慎んで欲しいと思う。
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 スポーツついでにもう一つ。大リーグも相変わらずフォローしている。日本人選手の不調もあり、最近はあまり熱心ではなかったが、シアトルマリナーズの岩隈久志投手がここにきて孤軍奮闘の活躍を見せ始めている。目下のライバル、ヒューストンアストロズと対戦した17日(日本時間)の試合では7回を8奪三振、無失点に抑えた。リリーフ陣も頑張り、試合は1対0で勝利、岩隈投手は10勝目(6敗)を挙げた。試合後の共同会見でサーバイス監督が岩隈投手を称賛している。主戦のヘルナンデス投手が負傷離脱していることもあり、チームの大黒柱となっているのが岩隈投手。次の一言に彼への高い評価がよく表現されている。“He’s been our most consistent guy, very resilient, good competitor. He’s a veteran, a real pro, and we’re very fortunate we’ve got him.” 「真のプロ」だからこちらも時差を我慢して応援のしがいがあるというものだ。

洗脳と我会

 熊本地震発生から3か月が過ぎた。最近ではそう大きい余震は起きていないようだが、自然相手は油断できない。また忘れた、いや、忘れようとしている頃に大きな揺れが再来するのかもしれない。九州はこれから本格的な台風シーズンも迎える。せめて今年ぐらいは大きな台風の襲来は勘弁してもらいたいと願う。それでまた日々、パソコンの衛星画像をにらんで念を送り続けることになる。
 それはそれとして、8月は大学の授業もない。釜山への3回目の旅(여행ヨヘン)をしようと、例によってネットで超格安のフェリー往復便を検索すると、オマガ! 8月は全然空きがないではないか。やはり人気のある格安チケットのようだ。もっと早く手を打つべきだったか。仕方ない。その次に安い便を探すと、往復7,900円のものが残り少なながらあった。これでも十分安い。日程を確定させなければ購入できないので、8月25日出発、31日帰国に決める。本当にまた行けるかな?
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 英語の授業で20世紀に英語に登場した新語を説明していて、あれっと思う単語があった。昨年の授業でも説明したのだが、私の「変化」で今年は新鮮な気づきとなった。その単語はbrain-washing(洗脳)。1950年代に生まれた新語で、a literal translation of Chinese xinao. A term from the Korean War(朝鮮戦争後に中国が敵対する人々に対して行った思想改造を評した表現)という。これを日本語では「洗脳」と訳したのだとか。中日辞典で漢字及びピンインを調べると、【洗脑】(xǐnǎo)と出ている。
 昨年は中国語でどう表記し、どう発音するのかといったことには全然関心がなかった。今はその正反対で大いなる関心がある。(今風の表現をすれば真逆というのであろうが、私はどうもこの真逆という語が嫌いだ)。あえてカタカナ表記すれば、シィナオ。これは私にも声調さえ気をつければ比較的容易に発声できる。
 韓国語でも言えることだが、学習するのに同じ漢字文化圏に住む強みを生かせる外国語があることはありがたい。発音はこれからも手こずるだろうが、少なくとも意味合いは想像(類推)できるケースが多々ある(ように感じつつある)。我不会喝酒。会は「~できる」という助動詞だ。英語だと canか。「私は酒を飲むことができない」。中国語では「お酒を飲む行為は技術・技能が必要だと考えられている」とNHK「まいにち中国語」の7月号テキストには書いてある。なるほど。確かに日本人は生来、2人に1人は下戸であり、訓練と慣れで下戸を脱するのだといつかどこかで読んだような記憶がある。
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 この項をパソコンで打っていると、CNN、BBCテレビでフランスの保養地で名高いニースでまたむごたらしい事件が起きたことを伝えている。革命記念日の夜の花火大会を楽しんでいる群衆に大型トラックが猛スピードで突っ込み、少なくとも80人が死亡、多数が負傷しているとか。テロのようだ。
 フランスがテロに見舞われるのはこれで何回目だろう? 観光客で人気の地だから、今回も邦人が巻き込まれてはいないか。テロの危険に満ちている世界!

よろしくお願いされたくない!

 近くの私立高校で受講している中国語教室は4回の授業を終えて、9月まで長い夏休みに入った。NHKのラジオ講座が日課となった身でも、やはり中国人のネイティブスピーカーの先生に中国語の発音の基礎を「生で」教えてもらうのはありがたい。
 夏休み前の最後の授業では基本の挨拶表現を学んだ。「こんにちは」の「你好(ニーハオ)」とか名前の聞き方、答え方などだ。(中国語では声調を示したピンインを記さないと意味がないのだが、打ち込み方が分からないので・・・)。テキストには名前の名乗り方に続いて、「どうぞよろしくお願いします」という文章が載っていた。中国語だと「请多关照」。敢えてカタカナで記すと、「チン・ドゥオ・グアンジャオ」という感じの発声だが、日本語とピタリ重なる音ではなさそうでカタカナ表記は無理があるかと思う。韓国語ではあまり感じることのない難解さだ。
 あれっと思ったのは、この「どうぞよろしくお願いします」という挨拶表現。中国語でも日本語と似たようなことを言うのだろうか。先生にそう尋ねると、「いや、中国ではこういうことはまず言いません。これは日本人が自己紹介の場でよくこう言うので参考までにテキストに載せてあるのでしょう。中国でこのような挨拶をしたら、皆さんが日本人であることがすぐに分かるでしょう」と指摘された。
 実は「どうぞよろしくお願いします」は英語でも悩ましい表現だ。結論から言えば、ご承知のように英語ではこういうことは言わない。だから頭を悩ます必要はないのだが、我々日本人は初対面の場などで、何かこうした表現をしないとどうも落ち着きが悪い(ような心持ちになる)。強いて英訳すれば、“Please accept me and support me.” という、どう見ても仰々しい文章が頭に浮かぶが、日本人には理解できても、ネイティブスピーカーが納得する英語表現としては不自然で無理があるとか。
 韓国語を学習していて、韓国語ではまさにそっくりの表現があることに気づき、面白く思っていた。「プッタクカムニダ」という表現。「プッタク」は漢字で書けば「付託」。これだけ言語的に酷似しているのに仲良くなれないわけがない。同じ東アジアの儒教圏の国だから中国語でも同じような挨拶の表現があっても不思議ではないと思い、先述の印象を抱いたのだが、どうもそうではなさそうだ。
 ところで日韓中米の類似相違はさておき、時と場合によってはこの定番の表現がやたら耳ざわりとなることもある。私がよく見る週末の娯楽番組。司会者とアシスタントが登場する人物にのべつ「よろしくおねがいします」と呼びかけ、向こうもそっくり同じ言葉を返す。これが幾度となく繰り返されると、ほとんど意味のない挨拶言葉に聞こえる。
 私は意味のない「挨拶言葉」はテレビ番組からなくして欲しいと願う。同じ番組の中で何度も顔を見せる人物が司会者側とその都度、「よろしくお願いします」と言葉を交わすのはもういい加減にしてくれ、それよりもっと実のあることをしゃべってくれと言いたくなるのだ。型通りのセリフを口にしている限り、視聴者に失礼な印象は与えない、番組はつつがなく進行する。それではあまりにつまらないと思う。まあ、そんな番組は始めから見なければいいだけのことで、目くじらを立てることでもないのだが・・・。

black=African-American

20160711-1468216984.jpg 前回の項でトニー・ブレア英元首相のことを書いた。実はあれは片手落ちのコラムだった。きちんと書いておくべきことは、メディアの一員として、私自身も当時はあのイラク戦争は不可避で正当な戦争と考えていたことを書いておくべきだった。自己弁護するわけではないが、私もイラクのサダム・フセイン大統領(当時)が何らかのWMDを保有していると思ったし、フセイン政権を「野放し」にしておくことは危険と考えたからだ。しかし、イラク戦争は結果的にイスラム過激派組織が「現代の十字軍に鉄槌を」と叫ぶテロ活動の主因を作ってしまった。中東情勢に起因するテロが世界中で猛威を振るう今の現実を思う時、その観を深くする。
 そんなことを思いながら、日曜朝、英BBCのホームページをのぞくと、これまた懐かしい顔が見えた。ブレア首相の側近として、その気さくな人柄が皆に好かれたジョン・プレスコット元副首相だ。サンデー・ミラー紙との単独インタビューを転電した記事で、見出しがセンセーショナルだ。Blair Forced us into an illegal war(我々はブレアにより違法な戦争を強いられた)
 プレスコット氏はブレア政権にあって労働者階層を代弁するような存在で、ブレア氏のエリート臭を緩和し、保守党から政権を奪取するのに大いに貢献した人物だ。そのプレスコット氏がここに来て、ブレア氏が率いたイラク戦争を喝破した。“A day doesn’t go by when I don’t think of the decision we made to go to war.” とプレスコット氏は悔いていた。違法な戦争でフセイン大統領を政権の座から追放したことで、パンドラの箱を開けたとも。数日前に自身の政治判断を正当化したブレア氏の主張とは正反対の言葉だ。
                  ◇
 また、アメリカで銃による惨劇が起きた。犯人の男は単独犯で「白人」特に「白人の警察官」に対する恨みを募らせていたという。アメリカで公民権運動が起き、マーティン・ルーサー・キング師らによるあのワシントン行進があってから50年余。その就任が歴史的出来事だった黒人大統領、オバマ氏もほどなく任期切れを迎えようとしている。それなのに、アメリカでは人種、肌の色の違いに起因する殺戮事件が跡を絶たない。
 犯人の男はいわゆるテロ組織とは関係がないが、黒人こそが白人や他の人種よりも優れているのだという考え方に傾倒していたとも報じられている。男の主張、考え方の具体的なことはまだ分からないが、この国が今なお人種的に病んだ国であることを象徴する事件となったことは間違いない。日本がこの種の病根から無縁であるとは言わないが。
 日本の報道で一つ気になった点。犯人の男を「黒人」と書かずに「アフリカ系」と書いている新聞があったこと。英語では差別を助長したくないとの思いから、黒人のアメリカ人を意味する時に “black” と言わず、“African-American”と言う表現が増えているが、今回の事件の報道ではそうした配慮は意味がないかと思う。CNNもBBCも “Five white police officers were shot dead by a black man.” などと報じている。

A better and safer world?

20160708-1467954101.jpg 久しぶりに英BBC放送で、トニー・ブレア英元首相がマイクに向かっているところを見た。2003年の米英イラク戦争で英国を参戦に導いた判断の是非を検証した独立調査委員会の報告書発表を受けた6日の記者会見だった。
 独立調査委員会はこの日、イラクのサダム・フセイン大統領が当時世界平和に及ぼしていた脅威について、フセイン政権を軍事的に打倒するのが唯一の残された選択肢ではなかったとの見地から、参戦に踏み切ったブレア元首相の判断は誤りだったと断じた。日本のメディアでもそれなりに報じられているかと思う。朝日は「英調査委、ブレア政権を批判」「イラク参戦『最後の手段でなかった』」との見出しで、朝刊準トップの扱いで中面でも大きく紙面を割いている。購読している読売新聞も一面で報じていたが、扱いはかなり地味な印象だった。
 イラク戦争の開戦から13年、調査委の発足から7年の歳月を経てまとめられた報告書は字数にして約260万語の膨大な量。文豪シェイクスピアの全作品を集めてもその3倍を超える字数だという。調査委の報告書を受けて英メディアではブレア元首相を「断罪」する厳しい論調の記事が相次いだ。英軍が直接にかかわった2003年3月から09年7月までの間に戦死した英兵は179人。兵士の遺族らは彼らの子供は犬死にしたのであり、ブレア氏は“the world’s worst terrorist” であると声高に非難している。
 ブレア氏は報告書発表を受け、2時間近い記者会見で、首相としての責任は全面的に認めるものの、「私の決断は(当時の)最善の選択であり、この国をミスリードしたわけではなく、嘘偽りもなかった」と自己弁護に徹した。
 時に思う。仮にあのイラク戦争がなかったとしたなら、世界は今どういう状況になっているだろうかと。少なくとも、フセイン政権が世界を大量破壊兵器による戦火に引きずり込んだ危険性は少なかったと今では推測できる。ブッシュ米・ブレア英政権が開戦の根拠として主張した大量破壊兵器(WMD=weapons of mass destruction)は結局、イラクからは見つからなかった。私の記憶では当時、フセイン政権がアル・カーイダを率いていたウサマ・ビンラーディンを陰で支援していたとの疑惑も開戦に傾く一因だったような気がするが、その後、両者はむしろ「敵対していた」ことも判明している。
 イラク戦争が開始された当時、私は大阪の新聞社で英字新聞の編集作業に携わっていた。中東問題の専門家ではないが、フセイン大統領がまだ健在だった1990年夏にバグダッドを取材で訪れたことがある。当時のイラクの閉塞的な社会を目の当たりにしてフセイン独裁政権の恐ろしさは容易に想像できた。
 まだ野党党首時代のブレア氏をロンドンで間近に取材したことがある。6日の会見での苦渋の表情に溌剌とした当時の面影を見いだすのは難しい。さらに難しいのは、ブレア氏が会見で語った “I believe I made the right decision and the world is better and safer as a result of it.”(私は正しい決断をしたのであり、その結果世界は今、より良く、より安全となっている」との主張に素直にうなずくことだろう。我々が普通に抱く価値観に敵意を抱くイスラム過激派によるテロの蛮行のニュースが国際社会から絶える日はない。

lame duck より強烈な zombie

20160705-1467697025.jpg ふうぅー、暑い。じっとしているだけで汗が噴き出してくる。昨夏はアイスクリームの類はなぜか全然口にしなかったが、今夏はこのところ毎日のように買い求めている。美味いアイスキャンデーを見つけてしまったこともある。杏仁豆腐とかいうアイスキャンデーで1個140円。あっさりした口当たりで、食べようと思えば幾つでも食べられそう。体重が「高値安定」の身には遠慮したいのだが、プールで泳いだ帰りについつい買ってしまっている。せめてもの抵抗は1日1個の「縛り」ぐらいだ。これもそのうち怪しいが。
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 NHKのラジオ講座を聞くのが日課となった。朝の講座は韓国語と中国語が連続しているので都合がいい。聞き始めたばかりだから大層なことは言えないが、韓国語に関してはこれまでの独学で覚えた語彙もあり、スムーズに聞ける。ただ、どちらの講座も4月開講だからすでに60回を超えており、「中途入学」の私は必死に耳をそばだてている。韓国語講座のテキストに掲載されている講師の顔写真を見ると、英字新聞勤務時代の先輩同僚によく似ている。何だか親近感を覚える。
 前にも書いたが、英語はNHKのラジオ講座にお世話になった。まさか、還暦を過ぎて、今度は韓国語と中国語でもお世話になるとは思わなかったが、継続は力なりだ。どこまで力をつけることができるか自分でも楽しみではある。
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 英字紙「ジャパン・ニューズ」を読んでいて、懐かしい表現を目にした。記事は提携紙の英タイムズ紙の転電で、ブレグジット(Brexit)の成立で苦境に立つキャメロン英首相が欧州連合(EU)の首脳会議での「最後の夕食会」に参加した際の他国の首脳の反応を伝えていた。国民投票に打って出て、墓穴を掘った格好のキャメロン氏に対する風当たりは強い。首脳の一人は辞任を表明したキャメロン氏のことを次のように評したとか。“After all, he’s a political zombie, in office but not in power.”(詰まるところ、彼は政治的には死に体の人間であり、政権の座にはあるが、権力を行使できる状態にはない)。zombie(死体)とは凄い。マイケル・ジャクソンの「スリラー」が頭に浮かんだ。
 懐かしいと感じたのは、生のニュースで後半の表現に初めて出合った時のことを思い出したからだ。1993年のロンドン支局勤務時代、当時のメージャー政権下で財務大臣だったノーマン・ラモント氏が財務大臣職を事実上解任された時に、彼がメージャー首相の政権運営を恨みがましく評した言葉がまさにこの表現。ラモント氏はメージャー首相が英国民に “being in office but not in power” という印象を与えていると言い放ったのだ。彼のこの言葉は英メディアで何度も繰り返し報じられた。私はなるほどこういう表現もあるのかと思った。日本語でピタリと当てはまる気の利いた表現は当時も今も思いつかない。
 上記の記事の中では各国首脳はキャメロン氏に対する怒りを直接口にすることはさすがになかったものの、深い失望感は隠せなかったようだ。首脳の側近の一人の次の言葉が彼らの気持ちをよく物語っている。“The referendum was his idea and he’s broken the EU.”(国民投票は彼が自ら言いだしたことだ。彼はその結果、EUを壊してしまった)

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