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英語でさるく 那須省一のブログ

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ジェットストリーム

 「ジェットストリーム 遠い地平線が消えて 深々とした夜の闇に 心を休める時 遙か雲海の上を 音もなく流れ去る気流が・・・」という語りで始まるラジオの音楽番組。高校生の頃だった。親元を離れた寂しい下宿生活を潤してくれた。正確な時間帯はよく覚えていないが、放課後は器械体操部で練習に汗を流していたので、おそらく深夜帯だったのだろう。ナレーションは声優の城達也氏(1931-1995)が担当。その滑舌のいい大人の語りに聞き惚れた。
 最近パソコンを立ち上げ、YouTubeをクリックすると、なぜかこの音楽番組が流れてくるようになった。城氏の当時のナレーションも聴くことができる。彼の落ち着いた語りを耳にするたびに瞬間、思いは遠くあの頃にとぶ。10代のあの頃に戻りたいとは思わないが、もし戻れたら、その頃の自分の耳元にささやきたい。「私は50数年後のお前だ。ちょっと話がある。お前さんのためになる忠告だから真剣に聞いて欲しい」。きっとその頃の私はびっくり仰天し、下宿の部屋を飛び出していたことだろう。霊か魔物に取り付かれたと。思えば下宿の部屋の窓からは墓地が見えていた、いや墓地しか見えない部屋だった。
                  ◇
 大リーグもプロ野球も終了し、時間を取られることが少なくなっていいと思っていたら、また野球をテレビで中継している。大会の趣旨はよく分からないが、日本代表がアメリカや韓国、台湾、キューバなどの国々と世界1をかけて戦っているようだ。根っからの野球好きゆえ、やはり横目で見てしまう。
 金曜夜は日本対韓国、土曜夜は日本対台湾、そして日曜夜は日本対キューバ。韓国戦と台湾戦は快勝だったが、キューバ戦は終盤に同点に追いつかれ、一時は敗戦も危惧されるような試合展開となった。幸い8回裏の攻撃で再びリードを奪い、決勝のスーパーラウンド進出を決めることができた。日本はいつの間にか、世界に冠たる野球大国になったようだ。大谷翔平君の活躍は今さら論じる必要もないほど。来季にはプロ野球から大リーグに移籍する有力な選手もいるようだ。ますます四六時中、野球漬けの日々となるかもしれない。楽しくはあるが、どこかで「線引き」が必要になるか。
                  ◇
 スマホに日々飛び込んで来る英語表現のミニ講座。気になる表現だったりすると、クリックして読むというか、読まされている。新たな気づきとなり、有り難く思うこともままある。
 先日は「コーヒーがあればいいなあ(と思う)」とか「(ここらで)休憩したいなあ(と感じている)」といった願望を英語ではどう表現するのかということを説いていた。クリックして読むと、確か “I could use a coffee.” や “I could use a break.” などという文章が紹介されていた。押さえておくべきことは could と仮定法の助動詞を使い、動詞はすべて use にする点。なるほど、そう言われれば合点は行くが、これまで I could use … という定番の表現があることまでは私は知らなかった。
 英語を若い人たちに教えていてこう書くのも気がひけるが、今も日々新しいことを学んでいる。ぼける暇がない。いや、確実にぼけていっているのかもしれないが・・・。

弱り目にトランペ!

 米大統領選。(私にとっては)まさかの結末となった。トランプ氏が大統領に返り咲くことになるとは! ハリス氏が勝利するものと予想(期待)していただけに衝撃的な結末。ハリス氏が勝利していたら、晴れ晴れとした気持ちで何か綴っていただろうが、さすがにブログをアップする気にはなれず。しかし、このブログは私にとって備忘録であるからには、そろそろ何か書いておかないと数年後に振り返った時に「当時の思考記憶」がなくなってしまう。
 トランプ氏の返り咲きもショックだったが、そのほかにもブログをアップする気になれない理由があった。数日前から全身に異常なほどの蕁麻疹が出ているからだ。痒くて寝れない日が何日か続いた。皮膚科医院に行き、診てもらったが、飲み薬を二週間分ほど頂いただけだった。その程度の治療で治るのかなとも思ったが、専門医の見立てだから仕方ない。それで薬を飲み始めた。最悪の状況は脱したように感じるが、蕁麻疹はまだひいていないし、全身をまさぐるとそこかしこが痒くなる。昨夜もなかなか寝付けず、うつらうつらしているうちに明け方を迎えた。これでは仕事にも影響する。
 いや早速仕事にも影響が出ている。金曜夜にはオンラインで英語小説を読む教室を月2回程度開いているが、蕁麻疹に苦しんでいた金曜夜はスカイプの調子が悪く、受講生とのやり取りに手間取ったこともあり、急遽取りやめさせてもらった。体調が普通だったら、辛抱強く回線の復旧に取り組んでいただろうが、体調不良に疲労、睡眠不足もあり、情けないが音を上げてしまった。
 そういう次第で私は今、ちょっとピンチにある。現在日曜の朝。蕁麻疹には身体を温める入浴は厳禁とのことなので、さっとシャワーを浴びて心持ちはすっきりした。このままいけばいいのだが、ほどなくまた痒みが襲ってくる。まだ完治していない背中の帯状疱疹は痒みがたまらないという病ではない。どこかでつながっているのかもしれないが、素人には分からない。とにかく頂いた薬の効果を信じるしかない。なぜ蕁麻疹が出たかということもよく分からない。どこか飲み屋で何か当たりそうなものを食べたのかとなると、一つ心当たりがあるのだが、推測の域を出ないのでここに書くのははばかられる。
 話題が横道に逸れたが、米大統領選のことは何か心に去来したことを書いておきたい。メディアで伝えられていることを二三書くと、ハリス陣営(民主党)が期待していた女性票が伸び悩んだことが敗因の一つとか。また、低学歴層やアラブ系の票もトランプ陣営(共和党)に流れたとか。投票直前に米国の旅から帰国したばかりの大学時代の先輩が拙宅に来てくれた。蕁麻疹に悩まされる前だったので焼酎を飲み交わしながら、大統領選のことも話題にした。「どちらが勝ちますかね」と問うた私に、先輩は「トランプだね」と即答した。先輩は米国情勢に詳しく豊富な滞在経験があり、友人も多い。そうした友人たちと話していると、移民対策や暮らしの不安などに民主党政権は無力であり、共和党のトランプ政権に期待したいとのムードを強く感じたとか。
 日本から眺めていると、独裁政権好みで民主的価値観をないがしろにし、傲岸不遜を地で行くトランプ氏のどこがいいのかと毒づきたくなるが、現実はそういうことらしい。アメリカという国、アメリカ国民に期待するのはもうやめにしよう!

タイムスリップは time travel

 ふと気がつくと、いつの間にか11月だ。毎年のことながら、1年が瞬く間に過ぎ去っていくような気がする。1年があっという間なら、10年もたいしたことないか。10年がたいしたことないなら、100年もほどなくか。人の一生はかくしてあっけなく終焉するのか。
 江戸時代やそれ以前の時代のことなどを考える時、ずっと昔のことであり、例えば、本能寺の変とか赤穂浪士の吉良邸討ち入りのことなど、今に伝えられている通りのことが起きたのか、眉唾の部分も多々あるのではないかなどと私は思ってしまう。要するに今生きている自分が直接「関知」できない時代のことはどうも信用できないなということだ。ましてや遙か昔の古墳時代のことや、文献資料が存在していない、恐竜が跋扈していた先史時代のことなど始めから眉唾ものだと今でも思っている。タイムマシンがあればそうした時代にタイムスリップして「確認」してみたいものだ。
 スマホで寝る前にスマホの画面にあるYouTubeをクリックすると、タイムスリップものがよく出てくる。代表的なものは20xx年の世界からやって来た未来人が日本や世界のことを語る(予言する)ものだ。これこそ眉唾ものだと思いながらも、ついつい見てしまう。
 とここまで書いてきて、そういえば、タイムスリップは和製英語だなということを思い出した。英語で表記するなら、time travel だ。でもタイムスリップは言い得て妙の表現ではないかとも思う。time-slip。私が学生時代にはサラリーマンは和製英語だから使わないようにと注意されていた。今では英米のメディアで普通に見かけるような気がする。英和辞書にも「(特に日本の長時間働く)サラリーマン」と載っている。やがてタイムスリップという表現が英語の語彙として取り入れられるようになるのだろうか、と思ってします。
                  ◇
 ふと気がつくと、最近は中国語や韓国語の話題に触れていない。独学をやめているわけではない。NHKラジオの初級講座は今もずっと聴き続けているし、日々、新たな気づきがないわけではない。ただ、改めてこの欄で書く意欲がわかないだけである。ということはやはり学ぶ意欲が減退しているのかもしれない。
 で少し無理して中国語の学びのことを書くと、今朝、中国語講座を聴いていて、(乱暴にカタカナ表記を許してもらえると)「ツーディエン」という語が紹介されていた。あ、これは確か辞書だなということはすぐに合点がいった。しかし、中国語の漢字でどう書くかということはあやふや。おそらく「词典·」だったかのような。問題は中国語特有の声調だ。私の耳にはこの日辛うじて、↗↘↗と上がって下がって再び上がるように聞こえた。実際のピンイン表記を辞書で確かめると、cídiǎnと載っており、私が感じたように↗↘↗というような音の上げ下げだ。正直嬉しかった。私はこの音の上げ下げが凄く苦手で辟易することがしばしばだからだ。できて当たり前の簡単な語とはいえ、ちょっと気分を良くした。
 上記講座では続いて、醋(酢)と酱油(醤油)という語が出てきていた。醋(酢)はcùであり、酱油(醤油)はjiàngyóu。両方の語も何とか記憶していた。もっとも私には醋のcùと词のcíを明確に区別することは至難の業。ともにツーと聞こえるこの音の違いを日本人には即座に判断することは無理ではないかなどとぼやきたくなる次第。日暮れて道遠し!

"arguably the best player in the big leagues"

 大リーグ(MLB)のワールドシリーズが終了した。残念ながら最後の数試合は仕事のために生中継に付き合うことができなかった。左肩の脱臼で大谷翔平君の調子は今ひとつだったようだ。それでも彼がドジャースのチームに今年貢献した功績に水を差すものではない。ということは分かっていたが、優勝を決める試合では胸の空くホームランをかっ飛ばしてくれることを願いながら、仕事に勤しんでいた。
 スマホで途中経過をチェックして、ヤンキースが前半に大量5点を挙げたことを知る。向こうのピッチャーは大エースのゲリット・コールだ。容易に打てるピッチャーではない。これは敗戦濃厚だな。まあいいや。3勝2敗でロサンゼルスに戻れば、第6戦目で先日好投した山本由伸投手が再びマウンドに立つことができる。きっとヤンキース打線をまた手玉に取ってくれることだろう。移動日をはさむから翔平君にもいい休養となる。私も週末ならば、心置きなくゲームをテレビ観戦できる・・・と思っていた。
 仕事が一段落し、残務整理をしながら、スマホをチェックすると、何とドジャースが5点差をひっくり返し、大逆転勝ちしているではないか。オマガ! ドジャースの優勝はめでたいことだが、私はその歓喜に預かることができなかったではないかいな!
 優勝が決まったゲームでも翔平君は思うような打棒は発揮できなかったようだ。だが、ロバーツ監督やチームメイトからはショウヘイを称える言葉が相次いでいた。ロバーツ監督は最大級の賛辞を惜しまない。次のように語っている。“Six years in the States, arguably the best player in the big leagues. … What Shohei’s done to our ballclub, the Dodger fan base domestically, globally, I just don’t think you can quantify.”(大リーグに来て6年。ショウヘイはほぼ間違いなく両リーグで最も優れた選手だろう。彼のドジャースへの貢献や米国内外のファン層に及ぼした影響など、とても数量化することなどできない)
 もう一つ印象に残ったのは敗軍の将、ヤンキースのブーン監督の所作。敗戦後の記者会見で、“This is going to sting forever.”(この敗戦は一生心を痛めることになる)と苦しい胸の内を吐露したが、ブーン監督は舞台裏でロバーツ監督の元に駆けつけ、ハグをして優勝を直接祝福したという。どこの世界・分野でもお手本にしたい “a good loser” (潔い敗者)だ。
                  ◇
 台所によく立つようになったからなのか、因果関係は分からないが、右手の複数の指があかぎれというのか、ささくれ立つようになって久しい。ひび割れが痛く感じる。若い頃には全くなかった「疾患」だ。皮膚科を何度ものぞいたが、「洗剤による手荒れ」みたいなことを言われたような。塗り薬で急場はしのいだが、またすぐに同じ症状を呈していた。
 最近、ふと気づいた。この頃はそうしたことに悩まされていないのではないか。よく分からない。これから冬本番を迎え、またあかぎれが復活するのかもしれないが、そうでないことを祈りたい。以前にこのブログでも書いたが、このところ、毎朝、無調整豆乳にきなこをたっぷり入れて飲んでいる。朝食を抜かすことはあっても、これだけは欠かさないようにしている。ひょっとしてこれが思わぬ効果を発揮しているのではないか・・・。そうだったら嬉しいが、いや、まさか?!

It'd be so unlike the Dodgers to lose to the Yankees.

 韓国の友人一家から「九州滞在が楽しかった」とのお礼のラインメールが届いて以降、ブログをアップする気力も失せてしまっていた。水は低きところに流れるものだということを再度実感。木曜日の午後、仕事を終えて、そろそろ何かアップするかとパソコンに向かう。
 中学・高校で英語を教えていると、それまで特に考えもしなかった語彙や文法の気づきに目を覚まされることがある。その都度反省し、学んでいる。直近では次の問題に考え込まされた。空欄に適語を入れる問題だ。
 It’s so (u   ) you to get cold feet at the last minute. (今になっておじけづくなんて君らしくもない)。get cold feet は専門学校で教えていた頃、何度か学生に説明した。身体の部位を使った慣用表現の代表的例だ。「おじけづく」。
 空欄の語はuから始まる語という指示だ。私は日本文を読んで、unlikeという語が頭に浮かんだ。unlikelyも候補に浮かんだが、口にしてみるとやはり unlike が座りがいいと思った。正答は確かに unlike。授業を終えた後に一人の生徒が近づいてきて言う。「先生、unlikely ではだめなんですか?」。「うん、一見、良さそうにも思えるが、実際そうは言わないようだね。unlikely は叙述的に使うのが一般的かな」などと答えた。理路整然と説明できなかったことを悔いる。
 職員室に戻り、改めて辞書を引いて愕然とした。likelyとunlikelyでは明らかな差異があるのだ。第一に品詞が異なる。以下、辞書で分かったことや例文を列挙する。unlikely は形の上からは副詞に見えるが、形容詞であり、「ありそうもない」「しそうもない」という意。an unlikely storyは「ありそうもない話」。unlike はまず形容詞で「似ていない」という意味があり、Unlike his father, he enjoys singing. だと「父親と違って彼は歌うのが好きだ」という意となる。「~と違って」「~らしくない」という前置詞の用法もあり、It is quite unlike her to criticize others. は「他人のあらさがしをするなんて彼女らしくない」。私はこの手の文章は知っていたが、unlike がこの場合は前置詞であることまでは認識していなかった。
 そうした文法的な知識がなくとも、例えば “That’s so unlike you.” という文章を見れば、「君らしくないね」という意味であり、これは相手を非難して使うこともできるが、ときに相手の励ましに使うことができることも理解していた。そうか、このunlike は品詞で言えば前置詞だったのか!
                  ◇
 米大リーグのワールドシリーズがいよいよ土曜日朝(日本時間)に開幕する。プロスポーツの試合でこんなに胸躍らせて待つのは久しぶりだ。興味が失せたプロ野球はどうでもよくなってこれも久しい。
 大リーグのホームページでは例によって、ドジャースとヤンキースのポジションごとの「優劣」が詳述されていた。両チームとも実力伯仲のようだ。大谷翔平君はもちろんDH(指名打者)のポジションで扱われていて、翔平君に分があると判定されていた。さてその総合的結論は “Dodgers in seven .” だった。ドジャースが4勝3敗で優勝とのご託宣だ。果たしてそうなるだろうか!?

朋有りソウルより来たる!

20241015-1728978316.jpg 本来なら今日は宮崎から別府温泉経由で帰宅しているはずだ。韓国から来訪した友人一家を別府温泉まで案内し、そこで別れて。しかし、残念ながら宮崎には向かわなかった。やはり5泊6日の旅行で福岡・宮崎・別府温泉をカバーするのは無理があったのだろう。一家は宮崎をキャンセルして別府温泉でゆっくり過ごしたいと言ってきた。友人の娘さんは1歳の赤ん坊を連れており、そちらの方が無難だ。友人夫婦は九州は初めてだが、娘さんは別府温泉には旅した経験がある。家族水入らずの旅を楽しんでもらうことにした。
 ソウルから福岡に到着した一昨日の夜は天神のレストランに案内して一緒に食事した。ちょっと意外な展開となった。予約を入れたのは馬肉を食べさせてくれる焼き肉店。韓国で馬肉を食べるかどうかは知らないが、きっと喜ぶだろうと思って予約を入れた。3連休中日の日曜ということもあって、何軒かのレストランから満席ですと断られての選択だったが。
 ホテルからタクシーを走らせ、お店の前に到着した。馬肉の看板を目にしたと思った。ふと左手を見ると二階に上がる階段が見えた。ここだろうと思い、その階段を上がると「いらっしゃいませ」の声。「遅れて済みませんでした。那須という名前で予約していた者です」と伝えた。出入り口から厨房の中がうかがえた。二三人のお店の人たちが瞬間、お互いの顔を見つめている。「何人様ですか?」という問いが返ってきた。「(伝えていた通り)大人4人です。赤ん坊1人いますが」。「それでは真っ直ぐ奥の方に入ってください」。言われるままに奥の間に上がり、掘りごたつのテーブル席につく。
 メニュー表をざっと見て、あれこれ注文する。「馬肉」は一番先に注文した。若い男性店員は「分かりました」とメモしている。私と友人のJさんは生ビールから焼酎へといつものようにピッチを上げていきながら、お互いの近況を話し合った。肉類を適当に焼いて食べながら、ふと馬肉が出ていないことに気づいた。呼び鈴を押し、やって来た店員さんに「馬肉が来ていないですけど」と告げる。先ほどの店員さんとは違う人だ。彼は困ったように首をひねり、「先ほどの店員が馬肉の注文に応じたんですか?」とつぶやく。
 改めてテーブルの上に置いてあるメニュー表を眺める。確かに馬肉の文字は見えない。あれ、おかしいなあ? ここは馬肉が売りのレストランではなかったか? 改めてメニュー表の片隅に書いてあるレストラン名に目をやる。あれ、予約を入れたお店とは違うぞ! そこで気がつく。私が予約したのはこのお店ではない、おそらく真下、一階にあるレストランに行くべきだった。何てこった、テラコッタ! 
 嗚呼、だから、最初に予約客だと告げた時に店員さんたちがちょっと虚を突かれたような表情だったのか。予約をすっぽかしてしまったお店に悪いと思い、どう対処すべきか考えていると、携帯が鳴った。そのお店からだ。丁重にあいにく行けなくなったことを詫びた。先方は「了解しました。また今度お越しください」との優しい言葉。「罪滅ぼし」に機会を作って行かなければと思った。
 Jさんに事の顛末を説明すると爆笑してくれた。それにしても、何という失態か。入店する前にお店の名前をきちんと確認していれば、この失態は防げたのだ。情けないし、恥ずかしい。私はこの種の愚かなぽかを繰り返しながら、人生を歩んでいる気がする!

Sho-time continues

 アフリカを旅している友人から時々、ラインメールが届く。写真が添えられていることもある。送信料は無料だという。信じ難い。かつて足繁く台湾の地を旅していた時はこうはいかなかったような気がする。私の愚かな勘違いかもしれないが。
 いずれにせよ、かくも簡単にアフリカから送られて来るリアルタイムのメール、写真、さらには音楽に接すると、世の中がどれほど便利になっているのかということを実感する。セネガルから送られてきた女性歌手の歌声は音質も素晴らしく、しばし聞き惚れた。
 この友人は私が新聞社のナイロビ支局に勤務していた頃からの付き合いで、当時からひょうきんであまり物事に臆することのないような男だった。そういう彼だからこそ、普通の人なら一人旅などとてもできないアフリカの地でも闊歩できるのだろう。羨ましい性分だ。
 私が今アフリカを再び歩けと言われれば、蛮勇を奮い起こしての旅行きとなるだろう。もちろん、その前に懐具合と相談しなければならない。日本からはどこの国であれアフリカにたどり着くだけで大枚を必要とするはずだ。人生の残り時間があまりないと自覚したなら考えないでもないが、まだ当分は心配する必要はないだろうと踏んでいる身には簡単ではない。(背中の帯状疱疹の痛みというか違和感は依然消えていないが)
                   ◇
 やはりこれを書かずにはおれない。ドジャースがパドレスを破り、ナショナルリーグの優勝決定シリーズへの進出を決めた。雌雄を決する大事な第5戦で先発し、5回を2安打零封の好投を見せ、勝利をたぐり寄せたのは、大リーグ移籍一年目の山本由伸投手。第1戦では打ち込まれており、米メディアでは彼の実力を疑問視する向きがあったが、そうした不審の声を一掃する力投だった。名実ともにドジャースのエースとなった印象だ。これからのナリーグの優勝決定シリーズでも活躍を期待したい。
 そして大谷翔平君。初戦こそチームに活を入れる3ランホームランを放ったが、それ以降はなんだか尻すぼみになった感がある。結局パドレスとの5試合では15打数2安打(1本塁打)8三振に終わっている。数字だけを見れば決して称賛には値しない。ただし、彼には有形無形の力(影響力)があり、大リーグの現地報道を見ると、ショウヘイがいたからここまで来ることができたといった感謝の言葉がチームメイトから相次いでいる。
 大リーグのホームページ上でリーグ優勝決定シリーズ直前のさまざまな分析記事が紹介されているのを読んだ。翔平君の項を次のような文章で締め括っているのがあった。おおよそ次のように終わっていた。
 The whole world is going to continue to stop the minute Ohtani comes to the plate. (中略)Ohtani’s legend is secure. But it’s the postseason that makes you truly legendary. This has to be his time, right? (オオタニが打席に立つたびに、全世界は動きを止めることになるだろう・・・オオタニが伝説的人物となったことは間違いない。しかし、その選手を真に伝説的な人物とするのはレギュラーシーズン後のプレーオフの戦いだ。今こそ彼がその力を見せつける時なのだ。そうでしょ、皆さん)
 その通り。異議なし。翔平君の真価を我々が目撃するのはこれからが本番だ!

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