- 2013-09-07 (Sat) 10:38
- 総合
この夏悩まされた猛暑もどうやら峠は過ぎたようだ。机の上にある温度(湿度)計の数値を毎日記録したメモ書きを見ると、先月末近くまで連日30度以上の数字が並んでいたが、九月に入ると、ほぼ毎日が30度の下だ。5日の木曜日朝には26.3度、湿度も52%と記してある。今朝(7日土曜)も28.5度に54%。これぐらいならしのぎやすい。これから予想される残暑が穏やかで推移して欲しいと願う。
会社に勤務している時は出勤さえすれば、エアコンの効いた室内で快適に仕事をすることができたが、フリーランスになった今はマンションの住居が言わば仕事場。経費節減の身にはエコライフを心がけねばならず、「職住近接」もそう楽ではない。暑さに雀もまいったのか、このところ、ベランダでさえずる雀の姿もあまり見られなくなった。
図書館に本を返却に行き、帰途、マンションの前で大家さんの姿を見かけた。挨拶すると、手にしたカボチャを「要りませんか」との由。以前なら丁重にお断りしただろうが、日々自炊の身にはありがたいお申し出。近くの家庭菜園で夫妻で栽培されているらしい。お礼を言って受け取り、早速、味噌汁の具にすることにした。
田舎育ちの私は実家でも亡きお袋が裏手の庭で栽培していた野菜の中に、カボチャがあったことをよく覚えている。取り入れられず、熟れ過ぎたカボチャが腐って垂れ下がっているのを目にした記憶も残っている。夕食にはおかずの煮つけか何かにカボチャがよく混じっていた。ニンジンやゴボウ、ダイコンなどと共にカボチャは苦手な野菜だったから、喜んで食べた記憶はない。時計を逆回しにして昔に戻りたいとは思わないが、そうしたお袋の味を素直に胃袋に収めることができなかったことは今もなお大いに悔いている。そんなことを考えながら、バレーボール大のカボチャの表面に包丁を入れた。いや、入れようとした。
おお、マイガッド! 固い。包丁の刃がカボチャの表面に食い込んでいかない。知らなんだ。生のカボチャがこんなに固かったとは。生憎小生の痛めた左手はまだ完治しておらず、包丁に思うような力を込めることができない。そのうちに左手に嫌な感じの痛みがさしてきた。いかん、いかん。でも、情けない。カボチャの皮がこんなに固いものであることを今頃になって知るとは。お袋はこんな固い野菜に包丁を当てていたのだ。許してくれやい、おっ母さん(と心の中で叫んでいた)。
端を削るようにして何とか包丁を入れ、その夜食べる分をそぎ落とした。夕食に味噌汁を作ることはあまりないので、カボチャに加え、玉ねぎ、ニンジン、白菜、豆腐に豚肉も入れてみた。朝の味噌汁なら必ず、戻した干し椎茸が「ベース」となるのだが、今回は間に合わず椎茸抜きでいつもより多めに煮込んだ。お味は? 美味! 食べながら、ああ、これは豚汁と呼んでもいいのではなかろうかと思った。料理のレパートリーが悲劇的に少ない私にはちょっとした「発見」だった。しめしめ。大家さんは冷蔵庫に入れておけば、このカボチャはかなり日持ちするとおっしゃっていた。あの大きさから判断すると、かなりの期間、健康的な豚汁が楽しめそうだ。
南瓜食む かみしめるのは 悔いと無知