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リズム

  • 2013-09-04 (Wed) 09:09
  • 総合

 今夏は中型二輪の免許を取ることにしたと前項で書いたが、情けない。免許を取るのは今しばらく時間がかかりそうだ。
 恥を忍んで記すと、あの項を書いた直後、教習を受けていたバイクから転倒し、左腕を痛打してしまった。停止する直前で減速していたとは言え、400CC(前項では勘違いから450CCと記した)のバイクから投げ出された。コンクリートの地面への転倒だから、体(頭)をかばおうとして、思わず左手をついたのがいけなかった。ずきっとする痛みが左腕に走り、残念ながら、教習はその日以来、休んでいる。
 周囲には病院に行くことを勧められたが、骨折ではないだろう、捻挫か肉離れの類ではないかと自分では考え、薬局で湿布薬を買って張り続けている。それはいいのだが、転倒からもう三週間近くたつのに、まだ左腕の痛みが取れない。肩は大丈夫のようだが、手首が痛い。朝起きて、顔を洗おうとすると、左手が思うように顔のところに持っていけないこともある。シャワーを浴びて、タオルを両手で絞ろうとすると、「いててえ!」となる。左手に力が入らないのだ。それでも、少しずつ痛みが和らいでいる感じはするので、今さら病院もなんだなと思いながら、自然治癒を待っている。
 このブログをアップする気力も失せてしまい、それ以来、怠けている。幸い、日常生活への大きな支障はない。鍋やフライパンを持つ時、左手では不安なので、何をするにも右手が必要という不便さはあるが。日課にしているスイミングにしても、クロールはさすがに控えざるを得ず、ひたすら、プールの中を歩いている。
 そういう次第で気分が少しブルーだ。本来なら今月下旬から始まる大学の後期授業に向け、シラバスに手を入れ、具体的な授業方法も概ね決めたいと思っていたが、なかなか本腰が入らないでいる。これも実に情けない。これは今週中には片付けたい。続く
 閑話休題。このところ日本文学の名作を暇に任せて読んでいることは先に書いた。正直、これも恥ずかしことだが、あまり読んだことがない作家、作品が私には多い。好きな英語表現に “Better be late than never” (「遅れても何もしないよりはまし」と私の辞書には載っているが、「死ぬまで青春」と理解したい)というのがあるが、まさにこの心境で臨んでいる。最近読んだのは林芙美子の長編『浮雲』と短編『風琴と魚の町』など。いや、実に存在感逞しい作品だった。もっと早く出合っておればと悔やまれた。志賀直哉の短編も手にした。こちらは何度か読んだことがあり、再読が多かった。再読とは言え、筋ぐらいは覚えているが、詳細はすっかり忘れているものもあり、『城の崎にて』『冬の往来』など、改めて明治・大正・昭和を生きた文豪のプロットの巧みさ、文章力に感銘を受けた。
 志賀直哉の昭和2年、44歳の短編に『リズム』というのがあった。冒頭の文章(注)に引き付けられた。私はこれまで文化センターや大学などで英語を教えていて、「英語であれ、日本語であれ、いい文章にはリズム感があります。普段の学習でいいと思った文章に出合ったら、声に出して読んで、目と耳、体全体でその文章を味わいましょう」と説いてきた。文豪の文章を読んで、その意を強くした。これまでに出した翻訳本や紀行本など拙著に文豪の言うところの「リズム」があるかどうかは別として・・・。(続きあり)

 短編『リズム』の冒頭部分 私が書いた意味でのリズムと全く同じことを述べているのではないが、相通じる部分は多いかと思う。

 偉(すぐ)れた人間の仕事――する事、いう事、書く事、何でもいいが、それに触れるのは実に愉快なものだ。自分にも同じものがどこかにある、それを目覚まされる。精神がひきしまる。こうしてはいられないと思う。仕事に対する意志を自身はっきり(あるいは漠然とでもいい)感ずる。この快感は特別なものだ。いい言葉でも、いい絵でも、いい小説でも本当にいいものは必ずそういう作用を人に起す。一体何が響いて来るのだろう。
 芸術上で内容とか形式とかいう事がよく論ぜられるが、その響いて来るものはそんな悠長なものではない。そんなものを超絶したものだ。自分はリズムだと思う。響くという聯想(れんそう)でいうわけではないがリズムだと思う。
 このリズムが弱いものは幾ら「うまく」出来ていても、幾ら偉らそうな内容を持ったものでも、本当のものでないから下らない。小説など読後の感じではっきり分る。作者の仕事をしている時の精神のリズムの強弱――問題はそれだけだ。
 マンネリズムがなぜ悪いか。本来ならば何度も同じ事を繰返していればだんだん「うまく」なるから、いいはずだが、悪いのは一方「うまく」なると同時にリズムが弱るからだ。精神のリズムが無くなってしまうからだ。「うまい」が「つまらない」と云う芸術品は皆それである。幾ら「うまく」ても作者のリズムが響いて来ないからである。
 

Comments:1

takatoshi 2013-09-05 (Thu) 14:43

それは直ぐに病院に行った方が良かったと思うね、俺も6月末に左足の親指を打ってしまい、(酒飲んでいてバランス崩した、場所は恥ずかしくて言えないがその後も大雨の中ビッコで歩いて店を変え飲んだ)大きく腫れたから、
次の日にレントゲン撮ったらヒビがは入っていたよ。1か月は掛かると言われたが、別に固定とかする必要は無し、結局50日でやっと風呂の中でリハビリが出来るようになったよ。
未だ完全では無いが通勤が無いだけラッキーじゃね。
手首の所じゃったら、何年も治らんよ。6年前に遣った所が未だ痛くて治らんかい、一生じゃなぁ。
話は変わるが、10月13日(日)に佐土原小の還暦祝いが、『まどころ』で遣ることに成ったよ、

あぁー俺も戦争時代とかに生まれんで良かったと思っちょる、まこち。
今は大東亜戦争の前後に興味有りあり。

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