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立て、動け、踊れ!

  • 2018-08-24 (Fri) 13:51
  • 総合

 普段の生活で毎日のようにプールで泳ぎ、歩いているのだが、最近は体重が「高値安定」状態だ。何か他の手立てを考えたい。そう思案していたら、英字紙で気になる記事を見つけた。“Want to lose 5.5 pounds in a year?”(一年で2.5キロ痩せたい?)という見出しで、イスに座り続ける生活を戒め、座るより立て、動け、踊れと薦めている記事だった。「いつも座っている」(sedentary)生活が健康に良くないことは承知していたが、この記事を読んで改めてもっと体を動かすことの大切さを認識した。
 記事は平均的アメリカ人が普段の暮らしで一日7時間以上イスに座って過ごし続けており、そのうち6時間を立つようにすれば、一日に54カロリーを消費することになり、一年でみれば、約2.5キロの体重減少につながるという。アメリカでは会社などでも従来の座り机ではなく、standing desk(立ち机)を使い、立って仕事をする人が増えているとか。
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 読売新聞の書評欄で中国の作家のことを書いた近著が紹介されていた。『作家たちの愚かしくも愛すべき中国』(訳著者・飯塚容 中央公論新社)。タイトルからして面白そうだったので、書店で買い求めた。中国通の人だったら、紹介されていた3人の作家、高行健、余華、閻連科は馴染みの作家たちなのだろうが、私にはどれも初めての人物ばかり。
 帯の紹介文をそのまま記すと、「亡命したノーベル賞作家、高行健 発禁処分を受けたノーベル賞候補作家、余華、閻連科 『現実』を活写し、人びとの『絶望』をつつみ込む文学者の声」。訳著者の飯塚氏は「はじめに」の中で次のように述べている。「彼らの社会批評は冷静かつ客観的であると同時に、鋭く的をついている。文化大革命、改革開放を経て今日に至る中国社会の変貌の様相を分析し、天安門事件などの敏感な問題についても直言し、何らはばかるところがない。その結果、一人は祖国を飛び出し、残る二人も体制から半ばはみ出している。(中略)中国社会の愚かしさを指摘するのは、中国に暮らす人々の心の痛みに寄り添っているがゆえである。彼らが世界に発する声を私たちはしっかり受けとめ、正しい中国理解につなげていかなければならない」
 中国語を独学している身に興味深い記述があった。それは高行健氏が訳著者とのインタビューで語っていた次の一言。
 中国語の古文には長い歴史がありますが、現代中国語は世界的に見ても若い言語と言っていいでしょう。二〇世紀に入ってから、話し言葉による創作が始まりました。ですから、まだ一〇〇年ぐらいの歴史しかないことになります。(中略)現代中国語は非常にフレキシブルです。中国語には時制がなく、動詞の形態変化もありません。同じ言葉が動詞に使われたり名詞に使われたりします。文法も言語学者があとから作り上げました。これは西洋の言語にない特徴だと思います。したがって作家は非常に自由な創作ができますが、文章表現が正確さを欠くという問題も生じます。
 中国語を「フレキシブル」と見るか、「野放図」と見るかは、人によって評価が異なるだろう。初学者の私は高行健氏の「自由な創作ができる」という指摘に勇気づけられた。中国語の文法とか正しい語法に意識過剰にならず、伸び伸びと学んでいこう。

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