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「シュウキンペイ」って俺のことかい?

  • 2018-08-04 (Sat) 10:31
  • 総合

 コーヒーの粉が切れた。昨秋ケニアの友人が来訪した際にもらったコーヒーが少し残っていることを思い出した。密封してあるので大丈夫だろう。淹れてみる。ナイロビが香ったような気がした。テレビの大リーグ生中継では大谷翔平君が3番DHで出場し、目の覚めるようなホームランを2発かっ飛ばしている。こちとらの気分が悪かろうはずがない。
 最近読み終えた中国にまつわる本で印象に残ったのは新潮文庫近刊の『言ってはいけない中国の真実』(橘玲著)。例によってマーカーを走らせた個所を以下に列記する。
 中国は「関係(グワンシ)の社会」だといわれる。グワンシは幇を結んだ相手との密接な人間関係のことで、これが中国人の生き方を強く規定している。(中略)幇は「自己人(ズージーレン)」ともいい、中国人にとってもっとも根源的な人間関係だ。いったん幇を結ぶと家族同様に(ときには家族以上に)絶対的な信頼を置く。(幇とグワンシの項から)
 なぜ、日本人は中国人に違和感を覚えるのだろうか。その理由はお互いによく似ているからだ。(中略)中国人も日本のことを「一衣帯水」「同文同種」と思っている。世界の中で漢字を使い論語を原文(漢文訓読)で読む“異民族”は日本人だけなのだから、これは根拠のないことではない。彼らにとって、日本は中国の文化支配(中華)の一部なのだ。(同)
 王さんによると、中国ではコネがすべてで、自分が共産党員か、親族に共産党員がいないかぎり、まともな仕事を見つけるのは不可能なのだという。そのうえ中国人は、自分とは関係(グワンシ)のない中国人にものすごく冷たい。日本では反日が大きく報じられているが、実は中国人は日本人に対してものすごく親切だと王さんはいう(中国を旅行しているとき、私も何度も同じことを感じた)。(中国共産党という秘密結社の項から)
 真の日本の国益は、元東京都知事のように中国を「支那」と呼び、頭ごなしに叱りつけるのではなく、中国の知日派や進歩派勢力と連帯して彼らを支えることだ。だが現実には、日本のメディアの「嫌中」キャンペーンにより、彼らは「売国奴」「漢奸」のレッテルを貼られてますます苦しい立場に追い込まれている。(中略)いま必要なのは、お互いのナショナリズムを認めつつ偏狭なナショナリズムから自由になることだ。(中国のナショナリズムの項から)
 その他、いろいろと参考になる卓見は多々あった。最後に全く同感として付記しておきたいのは次の指摘だ。
 もうひとつ、「対話」をはばむ大きな要因がカタカナ表記だ。(中略)人名と地名はできるだけ中国語の発音で覚えるようにしているが、しばしばカタカナ表記が混在して笑われる。最近は日本のメディアも「習(シー・)近(ジン)平(ピン)」のようにルビをふるようになってきたが、できればXi Jinpingという英語表記も覚えておきたい。Mao Zedong(毛沢東(マオ・ツォートン))がわからないと、中国だけでなく海外のどこでも教養の程度を疑われる。
 手間暇のかかることになるが、確かにそろそろ、何とかすべき時期にきているのかもしれない。中国の最高指導者の習近平氏のことをNHKは「しゅう・きんぺい」、朝日新聞は「シー・チンピン」、読売新聞は「シー・ジンピン」とそれぞれ呼び、またルビを振っている。日中両言語で微妙に発音が異なる母音・子音の正確な表記は実に悩ましい!

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