Home > 総合 > 老いてこその人生!

老いてこその人生!

  • 2018-06-22 (Fri) 10:36
  • 総合

 サッカーのワールドカップ(W杯)が大盛り上がりだ。まずはめでたしめでたしか。次のセネガル戦でも勝利を上げるようだったら、ファンのボルテージは一気に上がるだろう。私はJリーグの試合はまともに見たことがないが、ワールドカップとなればさすがに応援せざるを得ない。老若男女、多くの国民がここまで盛り上がるスポーツは他にないのではないか。それはサッカーが世界の至る所で貧富の差なく、熱くプレーされているスポーツであることと無縁ではないだろう。そして四年に一度、厳しい地区予選を勝ち抜いた勇者たちだけが、正真正銘の最高峰の王座を目指し、世界中のファンの見つめる中でしのぎを削るのだから、比類なきその価値は理屈抜きで理解できる。
 途上国ではサッカーの世界は恵まれない若者が豊かな生活を手にする手段でもある。西アフリカのセネガルでもそうだ。2010年のアフリカをさるく旅でセネガルを歩いた。あの国ではベレと呼ばれるセネガル相撲が盛んだが、サッカーで一流選手となることを多くの若者が夢見ていた。ハングリー精神にあふれ身体運動能力に長けた彼らのプレーをサムライブルーが超越できるのか。けだし見ものだ。この項を書いていて、首都ダカールで泊まった海辺のホテルで毎朝食したフルーツがこれまで味わった中で最高に美味だったことを懐かしく思い出した。
                  ◇
 ジャパン・ニュース紙に目を通していて思わず、じっくり読んでしまった記事がある。見出しは Biotech mogul takes over at L.A. Times となっており、伝統ある米ロサンゼルス・タイムズ紙がバイオテクノロジー(生物工学)の大富豪(mogul)、パトリック・スン・シオン氏に買収されたという記事。買収額は5億ドル(約550億円)で、9千万ドル(約99億円)の年金債務も引き受けることで合意したとか。スン・シオン氏は南アフリカ出身の中国系の人物で、ネットで検索すると「世界一富裕な外科医」と紹介している記事があった。まあ、私ら庶民には想像できない大金持ちのようだ。
 私の印象に残ったのはこの買収ではなく、スン・シオン氏がロサンゼルス・タイムズ紙の新編集長に75歳のベテランジャーナリストであるノーマン・パールスティーン氏を任命したこと。定年制度がなく、本人が希望すれば何歳になっても働けるアメリカならではの展開だ。アメリカでは健康であれば高齢であることは人生のハンデとはならない、いやむしろその経験や知恵が高く評価される。
 パールスティーン氏は大手有力紙や出版大手のタイムなどで勤務した実績のある記者。スン・シオン氏は彼に白羽の矢を立てた理由について次のように語っている。 “Not only does he have amazing experience with the full knowledge of how a newsroom runs ― but he’s amazingly modern and forward-looking.”(彼は新聞の編集現場がいかにあるべきか熟知し、その経験は驚くべきであり、また同時に目を見張るような現代的な先見を有し、積極的に物事をとらえることができる人物だ)
 日本の新聞社では50歳代半ばになると、大半の記者は報道の第一線から身を退かされる。蓄積された経験・知恵を活かせないのは甚だ「もったいない!」(What a waste!)と私は思う。

Home > 総合 > 老いてこその人生!

Search
Feeds

Page Top