- 2018-05-22 (Tue) 11:44
- 総合
英王室に新しいメンバーが加わった。チャールズ皇太子の次男、ヘンリー王子(愛称ハリー)(33)が米国出身の女優、メーガン・マークルさん(36)と結婚。結婚式の模様をBBC放送の生中継で見ていて、二三思ったことを記しておきたい。二人の結婚にそう関心があったわけではない。週末テレビのチャンネルをスクロールしていて、BBCの中継にぶつかったのだ。
まず驚いたのは、黒人の牧師が愛の大切さについて、とうとうと説教を垂れていたこと。米シカゴの米国聖公会のマイケル・カリー牧師。王子の結婚式が英ウィンザー城ではなく、米国の教会で執り行われているのではという錯覚に陥った。カリー牧師は英国の教会ではまずお目にかかれないだろうと思われるほどの熱のこもった説教で二人の門出を祝った。次のくだりは黒人解放運動指導者のマーチン・ルサー・キング牧師の言葉を念頭に置いた言葉だったとか。“There’s power in love. Love can help and heal when nothing else can. There’s power in love to lift up and liberate when nothing else will.”(愛には力がある。愛は助けともなるし、癒してもくれる。そんなことが可能なのは愛だけだ。窮地から救い、束縛から解放してくれる。そんなことができるのも愛だけだ)
カリー牧師の熱のこもった説教の様子を次のように形容していた新聞もあった。“a sermon that had some reaching for hankies and others shifting in their chairs” (ある者は涙をふくハンカチを探し、またある者はイスの上でもぞもぞする)。牧師の説教が一部の参列者には感動的であり、また一部の者には当惑させるものだったことは、テレビ画面の彼らの笑顔もしくは落ち着かない様子からもよくうかがえた。
米国の黒人霊歌から生まれたと言われる愛唱歌 “Stand by Me” を英国の黒人中心のゴスペルグループが礼拝堂で熱唱したのにも印象的だった。メーガンさんの母親が黒人であり、彼女が黒人の血を引くこと、それを彼女が誇りに思っていることと無縁ではないだろう。ところで、日本の新聞でも米国の黒人を形容する時に黒人(black)と書かず、アフリカ系アメリカ人(African American)と書くのが一般的になりつつあるようだが、私は通常のケースではそこまでしなくてもと個人的には思う。
英国がこの日、祝賀ムードに包まれ、英国内外から押し寄せた人々が二人の門出を祝福していたことは画面からも分かった。保守的な英国社会も日本に比べれば格段にオープンな社会になっていることを改めて実感した。日本にはないdiversity(多様性)が着実に花開いている。日本の皇室のメンバーの結婚があのように国内外の人々で祝福されるだろうか、ということをふと考えてしまった。英国が功罪相半ばする Commonwealth(英連邦)という植民地支配時代の「遺産」を抱え、日本とは単純に比較することはできないのは承知してのことだが。
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今この項をケーブルテレビでニューヨークヤンキースの試合を見ながら、書いている。田中マー君はこの日もぴりっとした投球ではなかったようだが、強力打線の援護で5勝目を確実にしている。アナウンサーが今、この日曜日はロサンゼルスエンジェルスとの一戦が予定されており、マー君と大谷のmatchup(対決)が実現する見込みと語った。本当?