- 2018-04-08 (Sun) 16:22
- 総合
中国語を学習していて楽しく感じるのは、中高校生時分におそらく国語の授業で習った四字熟語が中国語由来のものであったことに改めて思い至ることだ。あまりに日本人の生活・文化に馴染んでいるため、我々はそういう歴史的経緯は普段ほとんど意識することはない。私はそうだ。また、そうした四字熟語、中国語では成語と呼ぶようだが、それが中国では若干異なるニュアンスで使われていることを知ると、興味はさらに募る。異文化の言葉(表現)が「語源」を同じくしても、やがて乖離を生じるのは不可避なことだろう。
少し前には「起死回生」という成語について書いた。つい最近も中日・日中辞書を繰っていて、「朝三暮四」という懐かしい慣用句に出くわした。高校の頃の授業だったか、この表現を初めて学んだ時、意味するところはすぐに理解できたような気がする。猿たちが与えられる餌の数を朝の方を少なくしたら激高したので元に戻したら、総数が増えたわけではないのに増えたかのように喜んだという故事。はるか昔の授業では「目の前の利益に目を奪われて、事の本質を見失うことなかれ」と戒める警句だと教わったような気がするが、私の辞書には「変転きわまりない、ころころ変わる」と記されている。「考えや態度がくるくる変わること」に「力点」が置かれているようだ。日中の微妙な差異に留意しながら、四字熟語をできるだけものにしていきたい。
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大リーグでショーヘイ・フィーバーが起きているようだ。英語、いや米語にショー・タイム(Sho-time)という表現が定着するかもしれない。まあ本当にそこまでいくかはまだ分からないが、そうなってもおかしくなさそうなフィーバーぶりだ。それほど大谷翔平選手の活躍は衝撃的なものがある。彼が3試合連続のホームランを放った時に、向こうの実況アナウンサーが「オオタニサン!」と叫んだ歓喜の声が耳に残っている。日本では「さん」が「Mr」(Msもだが)に当たる敬称であることを米国民に印象付けてくれたことだろう。
日本時間の8日(現地7日)は彼は指名打者で出場することはなかった。明日9日(現地8日)2回目の先発で起用されることになっているからだ。今度も好投を見せれば、ショーヘイ・フィーバーはますますボルテージが上がるだろう。大リーグのホームページでも連日、彼の話題が大きく扱われている。彼の投打の二刀流の活躍に魅せられたファンの一人は、彼のような野球選手は既存の呼称では不十分だとして、“hitcher” か “pitter” と呼んだらどうだろうとユーモラスに提案していた。まさかそうなるとは思えないが、アイデアとしては悪くない。
エンゼルスのソーシア監督は当面、中6日で大谷選手を投手として起用し、その間の数日に指名打者として打席に立たせる意向のようだ。大リーグでは通常、ローテーションに入っている投手は中4日か中5日でマウンドに立っている。ペナントレースは開幕したばかり。あまり無理させずに段々と慣れさせていきたいのだろう。ソーシア監督のこの対応策は “erring on the conservative side” と表現されていた。「対応を間違うにしてもダメージのより少ない方を選ぶ」ということで、conservative という語がみそだ。ここでは「保守的」ではなく「控え目な」という意味合いか。「石橋を叩いて渡る」という表現を連想した。