- 2017-05-12 (Fri) 10:13
- 総合
『中国の小学生はどう中国語を覚えるか』(李凌燕著)という本を読んでいる。複雑な心境にさせられる項もある。例えば、本論から外れた「中国の子供たちの日本人観」と題したエッセイ風の文章。この中で「日本鬼子」(rìběn guǐzi)という中国語独自の表現が紹介されている。日本人を指す最大級の侮蔑の表現だという。同じ漢字文化圏ながら、我々にはそうピンと来ないが・・・。
『中国の小学生は・・・』では「日本鬼子」は「日本の畜生野郎」と訳されていた。母国(中国)に対する強烈な愛国心が日本及び日本人への反感、蔑視となってこの表現が定着しているようだ。日中間で政治的問題が生じる度に、愛国心を鼓舞する教育を受けた若者たちが日本人一般を「日本鬼子」と見るようになるのだろう。お互いの国にとってこれほど不幸なことはない。
このブログで書いたことがあるかどうか覚えていないが、新聞社に勤務していた10年ほど前に別府市にある立命館アジア太平洋大学(APU)で何人かの留学生を集め、日本とアジア諸国との交流を扱った特集紙面のための座談会を差配したことがある。その時に中国人の女子留学生が語った言葉が今も印象に残っている。彼女は来日後、日本に対する印象が一変したと語った。それまでは旧日本軍の残虐さを描いた映画や物語ばかりを見て育ったためだ。だが、彼女は中国に帰国した時、6歳の姪っ子から「お姉ちゃんは裏切り者よ」と罵られたという。
私は彼女の言葉を聞いて奇異に感じたが、尖閣諸島問題に端を発する2012年の中国各地での反日デモや日系企業への破壊行動のニュースに接して、なるほどそういうことかとその辺りの事情が理解できたように感じた。『中国の小学生は・・・』は1998年に刊行されているのでほぼ20年前だが、中国社会の基層部にたまっている反日・嫌日のマグマは今もそう変わっていないのではないか。そうでなければ嬉しいが・・・。
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購読している英字新聞「ジャパン・ニュース」。スポーツ面に少し手がとまった記事が掲載されていた。ドーピング疑惑の渦中にあったあのマリア・シャラポワ選手(ロシア)がトーナメントに復帰し、結局、二回戦で敗れたことを報じた記事だった。
彼女を破ったのはone of the most outspoken players against Sharapova’s return to tennis following a doping banだったウージニー・ブシャール選手(カナダ)。彼女には試合前、これまであまり話したこともなかった他の選手たちがやって来て激励の言葉をかけられたとか。その上でブシャール選手は次のように語っていた。“It showed me that most people have my opinion, and they were just maybe scared to speak out.”
この部分を読んで、何だか日本人学生が書く英文のようだなと思った。彼女はフランス語がカナダで唯一公用語とされているケベック州出身。もちろん、フランス語だけでなく英語も堪能に相違ないが、より流暢と推察されるフランス語に影響された表現ではなかろうか。It showed me that 以下のくだりは普通 most people share my opinionとか most people are feeling the same way となるのではと思う。私の英語の「師匠」のアメリカ人の友人からも「賛意」を得た。
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