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耐震補強工事が必要な日中関係との説

  • 2017-02-22 (Wed) 11:24
  • 総合

 新学期からは非常勤講師の仕事先(大学)が変わる。運よく新しい職場を授かった。授業内容もこれまでと少し異なる。それで、新しい授業の場で学生の英語学習に役立つ情報をできるだけ盛り込もうと今、あれこれ考えていて、NHKラジオの語学講座を思い出した。
 はるか昔の高校生時代、私はNHKのラジオ英会話の講座で英語の基礎を鍛えてもらった。今も感謝している。毎月テキストを買って、ラジオの音声に耳を傾けた。今は故人の松本某という日本人の先生と英語ネイティブのアシスタントがテキストを離れてやり取りする雑談が最初は全然理解できず、歯がゆく思ったことを覚えている。
 今でも似たような講座があるみたいだ。それで韓国・中国語の講座を聞くついでに英語関連の講座を幾つか聞いてみた。これが実に楽しくて参考になる。さすがに今は手元にテキストがなくともリスニングに何の支障もない。そうだ。学生にこうした講座を聞くようにアドバイスする手もある。授業にも活かせるかもしれない。
                  ◇
 『新華僑四〇年の履歴書 この日本、愛すればこそ』(岩波現代文庫)。面白く読み終えた。著者の莫邦富(モー・バンフ)氏は上海外語大で日本語を専攻して以来、40年にわたって日中関係の良化を願い、ジャーナリスト・作家として大活躍されていることを知った。
 例によって、マーカーを走らせた個所を列記したい。第17章の<「日中関係」というビルに耐震補強工事を加えよう>という個所から、適宜、途中をはしょって紹介————。
 文化大革命で崩壊寸前の状態に陥った中国経済が見違える成長を続ける。(中略)日本の輝かしい戦後の発展の歴史を振り返れば振り返るほど、日本の停滞ぶりと中国の躍進ぶりに改めて隔世の感がする。アジア一強時代の幕が下ろされ、新世紀の地平線に二強時代の曙が見えた。日本も中国もアジアの他の国々もこの歴史的な流れの変化を敏感に読み取った。それが、日中関係がギクシャクの度合いを増す根本的な原因だ。
 日中友好時代は終わった! しかし、恐れることはない。日中両国の国民がともに力を合わせて、平和的な両国関係を築けばいい。私たちが直面しているのは、歴史問題ばかりではない。やがて訪れてくる東アジア経済共同体、アジア連合(AU)、アジアの共通通貨といった前向きの課題もたくさんある。いずれも日中間の共同認識がないと実現できない。

 二〇年または三〇年後、日中両国が東アジア経済共同体あるいはアジア連合の実現に向けて一緒に汗を流す日がきっと訪れてくれると私は信じたい。
 ハードの分野では、中国に追い付かれて日本が苦労している場面が増えているが、ソフトの面では、日本がまだまだ中国の先を走っている。(中略)国民同士の草の根レベルの交流がより密接に行われる必要がある、と思う。より多くの中国人観光客が日本を訪問することを私が喜ぶ理由もそこにある。旅行などを通して日本社会がもつそのソフトパワーを体感し、日本に学び続ける必要性を理解してもらえると思っているからだ。同じことが日本人に対しても言える。中国を見下すことに慣れた日本と日本人は、猛烈に追いついてきた中国社会の変化を謙虚に受け止め、そこから学ぶべきものを探し出すという意識を持つべきだ。

 全くもって同感。いい本に巡り合ったと感謝したい。谢谢(謝謝)。

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