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猛暑を前にして

  • 2013-05-24 (Fri) 11:25
  • 総合

 日中、暑い日が続くようになった。思えば、去年の今頃は涼しいロンドン近郊にいた。よく考えれば、この3年はアフリカ、アメリカ、英国を旅していて、日本の夏の猛暑を免れることができた。今年からはそうはいかない。
 それで現在の「我が家」だ。賃貸マンション(6階建て)の5階。これまでこの種のマンションに何軒住んだかよく覚えていないが、快適さでは№1かもしれないと思っている。小さいマンションでそれぞれ一戸が角部屋になっており、近くに中高層のビルはない。従って眺めが良い。過去には窓を開けると、そこは隣のビルの外壁とか、お寺の墓地とか、よく、そんな感じのマンションやアパートに住んできた。今は毎朝、ベランダに飛んで来る雀たちの鳴き声で目が覚める(ことがある)。窓を開け放して住める(眠れる)開放感は格別だ。幸か不幸か、西向きの間取りゆえ、午前中はパンツ(下着)一枚で仕事(執筆や読書)ができる。
 問題は午後遅くなってからだ。西日が真正面から飛び込んでくる。カーテンを引いて、辛うじて直射日光は抑えているが、それでもじっとり汗ばんでくる。初夏に差し掛かろうという今にしてこうだ。夏本番が思いやられる。やはりエアコンが必要か。扇風機でしのごうか、いや、俺は我慢強い性格だ。うちわでやり過ごすことだって不可能ではないだろう、などという思いもしている。
 最近は運動不足解消を目的に近くのスポーツジムに通い始めた。週に2、3日、プールで泳いでいる。このジムにはサウナやお風呂がついていて、これもお目当ての一つだ。今は限定会員のため、午後6時までの利用しかできないが、会費を少しアップすると、午後11時近くまで泳げるようになるらしい。これだ、この手もある、などと考え始めてもいる。
 以前に出した本の末尾の著者紹介欄で書いたことがあるが、私の趣味は「必死こいて遅さを競うオリンピックがあれば国内の予選会ぐらいには出られるであろう水泳」だ。山育ちゆえに泳ぎが子供のころから苦手だった。山間部での川遊びは泳ぐというより、川に潜る、魚を突くという遊びだった。高校に入り、初めてプールという人工の施設を見て、ああ、とてもあの50㍍先の「対岸」までは泳げないと思った。懐かしのわが母校は「水泳教育」にだけは熱心で、金づちの生徒は夏休みに水泳の特訓が待ち受けていた。病気や体調不良を理由に特訓を逃れる者も少なくなかったが、私は正直に3年間、この特訓を甘んじて受けた。参加者は圧倒的に女生徒か下級生ばかりで、3年目はさすがに恥ずかしかったような記憶が残っているが。
 今はブレス(息継ぎ)を覚え、何とか泳げるようになった。でも、速くは泳げない。その代わりと言っては何だが、一人で気ままに泳がせてもらえるなら、クロールで1時間ぐらいは楽に行ったり来たりできる。泳ぐというより、漂うような泳ぎだろうか。沈むようで沈まない。監視人がハラハラするような独特の泳法・・・。
 日本の久しぶりの猛暑。プールとうちわか扇風機で無事乗り切ることができればめでたし、めでたし、というわけにはいかないだろうか。多分駄目だろうなあ。

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