- 2017-01-05 (Thu) 22:52
- 総合
今年の正月は暖かい。宮崎とはいえ、山間部の朝夕は冷え込みが厳しく、いつも正月は震えながら、二階から階下の居間に降りていた。今年は震えるほどのことはない。子供の頃には珍しくなかった軒下や道端の氷柱(つらら)は久しく目にしていない。これも地球温暖化の確実な証左だろうか。そうだとしたら、喜んでばかりはいられない。
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夜。何度か庭に出て夜空を仰いだ。例によって、夜空をチカチカと点滅しながら飛んでいる不思議な飛行体を何度も見た。航空機ではない。ヘリでもない。ドローンなら理解できるが、はるか上空を飛行するドローンはありえないだろう。ドローンだとしたら、かなり巨大なドローンだ。今回も?で終わったが、実に不可解。昼間には全然見ることのない物体だ。デジカメで撮影を試みたが、映っているのは残念ながら真っ暗闇。
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時間がたっぷりあったので、ほぼ一日中、読書にいそしんだ。読んだのはアメリカ人の友人からクリスマスプレゼントで頂いた “Unbroken”(Laura Hillenbrand著)。第二次大戦で旧日本軍の捕虜となり想像を絶する虐待を受けながら生還する米兵、ルイス・ザンペリーニ氏(Louis Zamperini)の実話に基づく物語だ。捕虜となる前には乗っていた米軍機が太平洋上に墜落し、洋上を46日間も漂流し、飢えと渇き、さらには日本軍機の銃撃やサメとの死闘を経験する。表題が示す通り、普通の人間だったら、とっくの昔にbreak down(崩壊)していても不思議でない過酷な戦時体験が生々しく描かれている。
極悪非道の虐待に出る日本兵幹部が実名・写真入りで登場しており、複雑な心境で読み進めた。旧日本軍の瑕疵は幾らでも指摘できるだろうが、この本を読んで改めて思うのは、彼らには捕虜虐待を禁じたジュネーブ条約の存在が一顧だにされていなかったという重大さだ。だからいまだに欧米の戦争体験者の間では恨みつらみが残っている。それはこの本を読んでもむべなるかなと理解できる。
人間の虚栄心や戦争の虚しさに改めて思いを馳せたが、思わず吹き出してしまったエピソードもあった。ザンペリーニ氏が移送された新潟県の直江津の捕虜収容所でのお話。In Naoetsu’s little POW insurgency, perhaps the most insidious feat was pulled off by Louie’s friend Ken Marvin, a marine who’d been captured at Wake Atoll. At his worksite, Marvin was supervised by a one-eyed civilian guard called Bad Eye. When Bad Eye asked Marvin to teach him English, Marvin saw his chance. With secret delight, he began teaching Bad Eye catastrophically bad English. From the day forward, when asked, “How are you?,” Bad Eye would smilingly reply, “What the fuck do you care?”
彼の仲間が看守に悲劇的に(catastrophically)間違った英語を教える狡猾な芸当(insidious feat)をやってのけた(pull off)ことを述べた場面だ。私も外国人に簡単な日本語を教える機会に遭遇すれば、似たようなことを仕出かしたいという誘惑に駆られることがないでもない。実際、とある寿司屋で外国人のお客が「おしんこください」というところを「おちんこください」と叫んだという話をどこかで読んだ記憶もある。