- 2016-12-13 (Tue) 12:46
- 総合
寒くなってきた。昨夜、ガスストーブを持ち出し、スイッチを入れた。手帳を見ると、昨冬は年明けの1月8日にそうしているから、今年はだいぶひ弱になったようだ。それでも3年前には11月末にストーブを持ち出したこともあるようだから、まあ良しとしよう。
便利な冷暖房機器に接するたびに、文明の利器の恩恵を受ける現代に生きる幸せを思わざるを得ない。ただし、この先は見えない。未曽有の大地震(津波)発生の可能性が警告される昨今、いつ命の危機にさらされるのか神のみぞ知る時代だ。多少なり不便を強いられても、天変地異のない時代を生きたいと願う気持ちもあるが、人類の営みはもはや坂道をころころと転がりゆく球体のように静止逆行不可避とも思える。
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クリスマスも近づいた。今年も例によって米ジョージア州のヒックス夫人とロンドンの元同僚の子供たちにお菓子の小包を郵便局から送った。郵送料が結構かかるのでこちらで思うほど送ってあげられないのが残念だが、日本のお菓子の味わいは結構喜ばれるので送り甲斐がある。元同僚の子供たちの喜ぶ顔が目に浮かぶ。再訪できるのはいつの日か。
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今年の漢字に「金」が選ばれたと今朝の朝刊が伝えている。体操の内村航平選手を筆頭にリオ五輪の金メダリストたちはやはり強烈な印象を残したようだ。ジャパン・ニュース紙でも読売本紙を引用し、この漢字がcan be read as “kin” for gold or “kane” for money と報じている。
ネットで調べると、漢字の「本場」、中国や台湾など漢字圏の国々でも日本にならったのか、同様のことをやっているという。日本と中国のその年を代表する漢字がぴったり重なることはないのだろうか。英国のオックスフォード英語辞典は今年を代表する語を毎年選定しているが、今年はpost-truth だった。その理由として次のように記してある。After much discussion, debate, and research, the Oxford Dictionaries Word of the Year 2016 is post-truth – an adjective defined as ‘relating to or denoting circumstances in which objective facts are less influential in shaping public opinion than appeals to emotion and personal belief’.
post-truth とは何と訳すべきだろう。読売新聞では「真実以降」と訳していた記事を見かけた。NHKテレビでは「ポスト真実」となっていた。post-cold war とか post-Apartheid という語句は自然に理解できるかと思うが、post-truth はさすがに一呼吸おきたくなる。上記の説明文からは「世論が客観的事実に基づかず、感情や個人的な思いによって形成される」現代の世相を形容しているのだという。つまり「真実の価値」が低下したのだ。英米で起きたブレグジット(Brexit)やトランプ現象がこれを代表することは言うまでもない。
アメリカのネット辞書では今年を代表する語として、xenophobia を選んでいた。これは「外国人嫌い」という定訳がある。日本でも問題となっている「ヘイトスピーチ」(hate speech)もこの xenophobia の典型的例。来たる2017年はポジティブな語が脚光を浴びることになって欲しいと切に願う。
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