- 2016-07-13 (Wed) 09:46
- 総合
近くの私立高校で受講している中国語教室は4回の授業を終えて、9月まで長い夏休みに入った。NHKのラジオ講座が日課となった身でも、やはり中国人のネイティブスピーカーの先生に中国語の発音の基礎を「生で」教えてもらうのはありがたい。
夏休み前の最後の授業では基本の挨拶表現を学んだ。「こんにちは」の「你好(ニーハオ)」とか名前の聞き方、答え方などだ。(中国語では声調を示したピンインを記さないと意味がないのだが、打ち込み方が分からないので・・・)。テキストには名前の名乗り方に続いて、「どうぞよろしくお願いします」という文章が載っていた。中国語だと「请多关照」。敢えてカタカナで記すと、「チン・ドゥオ・グアンジャオ」という感じの発声だが、日本語とピタリ重なる音ではなさそうでカタカナ表記は無理があるかと思う。韓国語ではあまり感じることのない難解さだ。
あれっと思ったのは、この「どうぞよろしくお願いします」という挨拶表現。中国語でも日本語と似たようなことを言うのだろうか。先生にそう尋ねると、「いや、中国ではこういうことはまず言いません。これは日本人が自己紹介の場でよくこう言うので参考までにテキストに載せてあるのでしょう。中国でこのような挨拶をしたら、皆さんが日本人であることがすぐに分かるでしょう」と指摘された。
実は「どうぞよろしくお願いします」は英語でも悩ましい表現だ。結論から言えば、ご承知のように英語ではこういうことは言わない。だから頭を悩ます必要はないのだが、我々日本人は初対面の場などで、何かこうした表現をしないとどうも落ち着きが悪い(ような心持ちになる)。強いて英訳すれば、“Please accept me and support me.” という、どう見ても仰々しい文章が頭に浮かぶが、日本人には理解できても、ネイティブスピーカーが納得する英語表現としては不自然で無理があるとか。
韓国語を学習していて、韓国語ではまさにそっくりの表現があることに気づき、面白く思っていた。「プッタクカムニダ」という表現。「プッタク」は漢字で書けば「付託」。これだけ言語的に酷似しているのに仲良くなれないわけがない。同じ東アジアの儒教圏の国だから中国語でも同じような挨拶の表現があっても不思議ではないと思い、先述の印象を抱いたのだが、どうもそうではなさそうだ。
ところで日韓中米の類似相違はさておき、時と場合によってはこの定番の表現がやたら耳ざわりとなることもある。私がよく見る週末の娯楽番組。司会者とアシスタントが登場する人物にのべつ「よろしくおねがいします」と呼びかけ、向こうもそっくり同じ言葉を返す。これが幾度となく繰り返されると、ほとんど意味のない挨拶言葉に聞こえる。
私は意味のない「挨拶言葉」はテレビ番組からなくして欲しいと願う。同じ番組の中で何度も顔を見せる人物が司会者側とその都度、「よろしくお願いします」と言葉を交わすのはもういい加減にしてくれ、それよりもっと実のあることをしゃべってくれと言いたくなるのだ。型通りのセリフを口にしている限り、視聴者に失礼な印象は与えない、番組はつつがなく進行する。それではあまりにつまらないと思う。まあ、そんな番組は始めから見なければいいだけのことで、目くじらを立てることでもないのだが・・・。
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