- 2016-06-15 (Wed) 08:48
- 総合
熊本地震から2か月が過ぎた。NHKテレビからは大きな余震の恐れを警告する放送は流れないようになった。安心していいのだろうか。八代市周辺では震度5弱の揺れが数日前にも起きているが、福岡で揺れを感じなかった私はネットでそれを知るまで全然気づかなかった。折も折、政府の地震調査委員会が今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率分布の予測地図を公表。日本は地震の巣のようだ。千葉市では烈震の確率が実に85%、宮崎市は43%だった。私の故郷は宮崎の山間部で岩盤も丈夫に思える。やがては故郷を終の棲家にすることが脳裏をかすめる。
尊敬するキリスト教の牧師さんは私たちが今、終わりのときを生きていると説いている。聖書が語りかける黙示録(Apocalypse)のときを生きていると。頭を垂れて神に祈るしかない。やがて間違いなく来るであろう大地の激しい揺れを少しでも鎮めてくださいと。
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ニュースがエンターテインメントと化しているかのような米CNNテレビはあまり見たくないのだが、フロリダ州の銃乱射テロ事件以来、どうしてもチャンネルを合わせてしまう。14日の放送では、乱射テロ事件で犠牲となった49人の簡単なプロフィールを一人一人顔写真付きで紹介していた。20代から30代の若者たちだ。あの夜、ナイトクラブに足を運んだ時、彼らはまさか数時間後に自分の人生が狂信者により無残に幕を下ろされるとは思いもしなかっただろう。犠牲者の名前を読み上げていた、いつもはクールな男性キャスターはこみあげる涙を抑えるのに苦労していた。
この事件は当然のことながら、大統領選に少なからぬ影響を及ぼし始めているようだ。単独犯の容疑者はアフガニスタン出身の移民二世。移民規制が持論の共和党のドナルド・トランプ氏はそれ見たことかと、イスラム過激主義に対する対策強化のボルテージを上げている。アメリカや同盟国へのテロの歴史がある国からは当面、移民受け入れを禁止すべきと。
トランプ氏は過去にイスラム教徒の全面的移民禁止を訴えており、それが共和党の指導層でも物議を醸すと、若干のトーンダウンを見せていたが、今回の事件で再び持論を声高に叫び始めたかの観がある。
インターネット新聞の「ハフィントンポスト紙」は表紙で “Madman-in-Chief”と報じていた。トランプ氏が11月の本選で大領領に選ばれるようなことにでもなれば、“Commander-in-Chief” ならぬ “Madman-in-Chief”とは痛烈な風刺だ。その下の見出しの一つに “Doubles down on Muslim Ban” という表現が見える。“double down” とはトランプ氏のニュースで私は初めて目にした表現で、最近よく出合う。辞書には載っていない。カードゲームで使われる表現で、劣勢の客が一気に負け金をチャラにするため、賭け額を倍額にする行為を指す。上記のケースでは「さらに強気に出る」といったような意味合いか。
日本にとって最重要な同盟国のリーダーとなる米大統領職。敵対するメディアとは言え、“Madman-in-Chief” と形容されるような人物に就任して欲しくはないのは当然だ。「古参」のメディアでも最近はワシントン・ポスト紙がトランプ氏批判のトーンを強めており、これから何が飛び出してくるかしれない。
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