- 2016-02-14 (Sun) 20:36
- 総合
土曜日の朝。いつものように朝刊を広げて、おやっと思った。国際面に2段見出しのロンドン発の記事で、「英紙デジタル専門に インデペンデント 紙発行来月停止」という見出しが。嗚呼、ついにここまで来たのかとしばし手がとまった。
記事によると、インデペンデント紙は紙の新聞の発行を来月26日で終了する。その後はインターネットによるデジタル報道に特化するという。この記事を読んだ後、インデペンデント紙のホームページをのぞいた。次のような同社のコメントが出ていた。“The newspaper industry is changing, and that change is being driven by readers. They’re showing us that the future is digital. This decision preserves the Independent brand and allows us to continue to invest in the high-quality editorial content that is attracting more and more readers to our online platforms.”(新聞産業は変化の中にある。その変化は読者がもたらしている。彼らは我々に新聞の未来はデジタルにあることを示している。今回の決定により、我々は今後もインデペンデント紙のブランド力を維持するとともに、高い質の記事を提供し続け、デジタル分野の読者をさらに一段と引きつけていくことだろう)
インデペンデント紙は1986年の創刊。発行部数は89年のピーク時には40万部を超えていたが、昨年12月には5万6000部にまで低迷。一方、デジタル部門はこのところ毎月3割を超える伸びを見せており、国内外で7000万人が読んでいるとか。
同紙が創刊された時、私は東京の新聞社の国際部で内勤をしていた。ロンドン支局の先輩記者が書いた創刊を伝える記事を読んだ記憶がある。記事からは、ザ・タイムズやガーディアン、デイリー・テレグラフ紙など伝統紙がひしめく英国の新聞界にリベラルの立場から挑戦状をたたきつけた彼らの意気軒高さがうかがえた。しかし、部数はやがて頭打ちとなり、経営は思わしくなかったようだ。90年代初めにロンドン勤務だった私は一度、インデペンデント社に取材の足を運んだことがある。その頃、読者に高額の商品が当たるくじ引きを紙面で展開しており、編集幹部にそのことを尋ねると、彼は「読者サービスの一環」と語った。そうした悪戦苦闘の末にハードコピー(hard copy)とも呼ばれる紙の新聞では30年しかもたなかったということか。日本の新聞各紙も活字離れで無読層が増え、厳しい状況にある。インデペンデント紙の路線変更の推移を見守りたい。
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たまたま視聴可能なことに気づいた中国の国営放送局「CCTV」。これまでNHKのニュースなどで笑顔一つ見せず、淡々とコメントする政府のスポークスパーソンの中国語にどうも馴染めないものを感じていたが、そうした印象が薄らぎつつある。ニュースを読むアナウンサーも時に笑みがこぼれる。彼らの言葉が少しでもいいから理解できれば何と素晴らしいことだろうか。諸説あるが、中国から日本に4世紀頃に伝来し、我々の言葉の中枢にある漢字。あの漢字だけで意思疎通するのは至難の技に思える。
中国国内では今なお常軌を逸した抗日ドラマも放映されているそうだが、少なくとも日本国内用に流されている番組にはそういう類のものはなさそうだ。もっとも私に分からないだけのことかもしれないが・・・。
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