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クリントン氏の黄信号

  • 2016-02-02 (Tue) 20:52
  • 総合

 今日(火曜)は米大統領選の民主、共和両党の候補指名争い第一弾、中西部アイオワ州の党員集会の模様を米CNNテレビのライブ放送で見た。政治ショーのようだった。
 共和党では保守派のテッド・クルーズ上院議員が大富豪のドナルド・トランプ氏を抑えて勝利した。世論調査ではリードしていたトランプ氏を逆転した番狂わせなのだろう。トランプ氏はクルーズ氏への「敗北」が判明した後、「アイオワで二位になったことを誇りに思う」と悪びれることなく支持者への謝意を表明した。とはいえ、カナダ生まれのためクルーズ氏の国籍に疑念を呈するなど、このところ痛烈な皮肉を浴びせていたライバルの後塵を拝し、しかも、若手のマルコ・ルビオ上院議員にも差のない三位に追い上げられたことで、向かう所敵なしの感のあった不動産王の心中やいかに。
 民主党の党員集会は下馬評の高かったヒラリー・クリントン前国務長官が左派のバーニー・サンダース上院議員に肉薄され、大接戦の末に辛うじて第一位の座を獲得した。民主社会主義者とも称される74歳のサンダース氏がここまでクリントン氏に肉薄するとはほとんどの人が想像していなかったのではないか。サンダース氏の集まりはまるで指名獲得を手中にしたかのような高揚感にあふれていた。クリントン氏の集会も夫のビル・クリントン元大統領や娘のチェルシーさんが登壇し、それなりの熱気を見せていたが、この夜最も盛り上がっていたのは間違いなくサンダース氏の集まりだった。
 サンダース氏の口からはこの国で進む貧富の差の拡大を背景に、ステータスクオ(現状維持)を糾弾する言葉が飛び出していた。クリントン氏やその他の陣営と異なり、サンダース氏の選挙資金は個人の寄付金で賄われ、1人当たりの平均寄付額はつましい27ドルだとか。ステータスクオ打破を訴えるサンダース氏のこの夜のスピーチは例えば——。
 「アメリカの人々はアメリカという国の建国の理念が昔も今も公正さ(フェア)にあることを知っています。アメリカの富裕層の中でも0.1%というわずかな人たちの富が国民の90%の富と大差がない現実はフェアとは言えません。国民を二分して下半分の人々の富を合わせても最上位のたかだか20人の富よりも少ないという状態もフェアとは言えません。さあ皆さん、荒療治の心構えができていますか。私はそう信じています。私がここで言う荒療治とはアメリカの経済を億万長者だけのものではなく、日々働いている人々の家族のためのものに創り変えるということです」(What the American people understand is this country was based and is based on fairness. It is not fair when the top 1/10 of 1% today owns almost as much as wealth as the bottom 90%. It is not fair when the 20 wealthiest people in this country own more wealth than the bottom half of America. So you guys ready for a radical idea? Well, so is America. And that radical idea is, we are going to create an economy that works for working families not just the billionaire class.)
 CNNテレビによると、アイオワ州の民主党の党員集会では若者層(17-29歳)の実に84%がサンダース氏に投票したという。大学卒業後に仕事を見つけられず、親元に居候の形で里帰りし、職探しをしながら在学中の奨学金の支払いに四苦八苦している若者の怒りが垣間見える。アイオワで灯ったクリントン氏の黄信号はどう変化していくのだろうか。

Comments:2

宮崎のホールデン髭爺 2016-02-03 (Wed) 09:47

受験生を抱えて、彼らにアメリカの矛盾は日本にもつながることを伝えたいと思います。「矛盾と感じたことを正しい方向に変えるために学問を積む」人間(日本人)であってほしいし、自分もありたいものです。~You cannot love what you don't know.~知らないことは愛せないのですが、知って愛せないこともあり、知ることのつらさ虚しさと共に、そこから生まれる勇気の意味を子供達と一緒に考えたいものです。

nasu 2016-02-03 (Wed) 16:54

ホールデン髭爺様 コメントを読んで、高校の倫理の時間だかに学んだ(と記憶している)、確か、生きる(人生の)意味は人格向上にある、という言葉を思い出しました。そういうことを先生から教わる受験生は幸福だとも思います。            愚禿凡夫

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