- 2025-03-22 (Sat) 08:26
- 総合
本日は金曜日。先週の土曜日に釜山に到着して以来、毎日が旅(移動)の連続で少々疲れている。かつて手がけたアフリカやアメリカの旅に比べれば楽ちんとはいえ、年齢を重ねた今は正直、今日は一日ゆっくりしたいと思う時もある。そういう次第で本日はどこにも出かけず、ホテル近辺をうろつくだけにするか。一旦はそう思ったのだが、一つ気になることがあった。まあ、どうということでもないのだが。
安東(アンドン)に着いている。日本人の名前のような地だ。到着してすぐに西にある河回村(ハフェマウル)に向かった。ガイドブックには「穏やかな洛東川のほとりに藁葺き屋根の古い家屋が並ぶ。朝鮮王朝を代表する両班の村」と紹介されている。私も「両班」が当時の特権的な貴族階級を指す語彙であることぐらいは知っている。到着した河回村はのどかな農村地帯といった感じで、私の生家がある村と似ていた。もっとも私の愛する村は今は限界集落となり往時の面影は薄れてしまったが・・・。
村の工芸品を売っているお土産店でこの地の名物、仮面劇のミニお面を購入した。夏場にはループタイとして使えるような代物だ。お店のおばちゃんに50,000₩札を渡すと、お釣りとして48,000₩を手渡された。ホテルに戻ってしげしげとお面を見つめた。どう見ても、2,000₩(200円)では安すぎる。ひょっとしたらおばちゃん、何か勘違いしていたのでは。実はこれを購入した時、市内に戻るバスが到着していて、私もおばちゃんも焦っていた。
それで日課の祈祷書を手に、朝市のテーブルに座り、店主のお婆さんが温めてくれたチャプチェ(春雨料理)を食べながら決めた。もう一度河回村に行こう。河回村には路線バスで1時間ほど。お土産店におばちゃんはいず、娘さんがいた。事情を説明すると、いえ全然問題ありませんよ。普通なら4,000₩ですが、古い商品なので母は2,000₩にしたのでしょうとのこと。それではせっかく出直して来たので、2,000₩足しておきますと申し出ると、いえ、それはいいです、どうしてもとおっしゃるなら、新品がありますから、それと取り替えましょうとの由。気分がいいので、似たような別のループタイも買った。
河回村を再訪したかった理由はもう一つあった。タルチュム(仮面劇)と呼ばれる、この国の国宝に指定されている有名な仮面劇を見たかったのだ。午後2時から50分程度の公演で前日は間に合わなかった。この日は存分に楽しむことができた。河回村に入る時に5,000₩の入村料金を支払うが、観劇料もこの入村料金から賄われているようだ。
ガイドブックによると900年以上前から伝わる庶民劇で、旧正月の村祭りや巫女の祭礼で奉納されていたとか。一時途絶えていたが、1970年代に村の青年たちが再興し、今では一年を通して定期公演されているようだ。この地で両班が支配階級として君臨していた時代の村人たちの暮らしが皮肉たっぷりに描かれていた。韓国語が分からない来訪者のために英語と中国語の簡単な字幕も付けられていた。日本人の観光客はそう多くなさそうだったが、日本語の字幕も添えられていたのが印象に残った。娘の放尿シーンの描写や男性器の連呼など、ちょっと危なっかしい内容もあったが、私は全く気にならなかった。心から笑えた。
一夜明けて本日は土曜日。今日は安東から電車で東海(トンへ)を訪ね、数時間後にはソウルに移動する強行軍だ。疲れそう。
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