- 2025-03-19 (Wed) 10:01
- 総合
一夜明けて火曜日朝。大邱は何となくもういいかという思いがした。韓国東南部の慶尚北道(キョンサンプクト)には大邱の他にも慶州(キョンジュ)と安東(アンドン)という古都がある。まず最初に東に位置する慶州を訪ね、それから北の安東に向かうのが理にかなっているかと思い、高速鉄道に乗車して慶州に足を運んだ。実際には大邱から東大邱を経由して慶州に降りた。慶州駅に降り立つと、そう寒くはないが、雪が舞っている。全然気にならないほどの粉雪だ。目の前には山また山。韓国人=登山という「図式」が頭に浮かんだ。20分かそこらバスに揺られてターミナルの商店街に到着。古都という雰囲気を感じないでもないユニークなたたずまいの通りが見えた。
ところで、慶州駅のバスターミナルで市内中心部のホテル街にどう行こうかと慣れないハングル表記のバス停に頭を悩ませていたら、若者とお爺さんが側から声をかけてくれた。「どこに行かれるのですか?」。英語と韓国語をミックスしてのやりとりとなったが、旅先でのこうした小さな親切は実にありがたい。
賑やかなホテル街でとりあえず宿を探す。最初に目に入った大きな近代的なホテルのフロントで問い合わせをしてみた。部屋ありますか?一泊いくらですか? フロントの女性が打ち込んだ卓上計算機の数字を見やると100,000₩を超えていた。日本円では10,000円を超える。今時韓国を旅している日本人観光客なら極めてリーズナブルな値だろうが、年金生活者にはちと躊躇せざるを得ない。潔く身を引いた。続いて飛び込んだホテルでは愛想の良いおばちゃんが受付奥から出てきた。部屋ありますかと尋ねると、ありますよとの返事。80,000₩。探せばもっと安いところがあるだろうが、この辺で手を打とう。だめもとで2泊するから70,000₩にしてもらえませんかと交渉。おばちゃんはあっさりと「いいわよ」。心変わりされると嫌だから早速50,000₩札を三枚手渡す。そこに若主人といった呈の男性が現れ、私がお釣りを催促すると「お客さん、逆でしょ。そちらがあと10,000₩札を下さいよ」。「(普通)そうだよな」と思いながらも、「いや2泊するから、ディスカウントしてもらったんです」と一応言ってみた。それで「決着」した。
粉雪も舞っているし、少し肌寒いので、歩きながらジャンバーのジッパーを上げた。普段はジッパーには手を触れず、ボタンで済ませている。長年使っていないからか、直後にジッパーが外れなくなった。英語で表現するなら get stuck という状態だ。困った。いくら力を込めて引っ下げても外れない。どこか衣料品店でものぞいて助けてもらおうか。しかし言葉が通じないし、一銭の徳にもならないこんな雑事を頼んだら罵声を浴びせられるのではとも危ぶみ、ちっちゃな小売店が軒を連ねた市場のなかをうろうろした。さすがに困り果て、ミシンが見えた一軒のお店に飛び込み、店主らしき老齢の男性に「これなんとかなりませんかね」とジェスチャー。困り顔のお爺さんはうなりながら、ジッパーを外そうと「格闘」してくれた。何度かトライした後にやっと外れた。やった! 私はさすがに言葉だけのお礼では気が引けたので、5,000₩札をお爺さんの手に握らせた。お爺さんはちょっと笑みを浮かべて受け取ってくれた。晩酌のビール代ぐらいにはなるだろう。
歩き回ったらお腹が空いた。さて、今夜は何を食べよう。
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