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“Madman Theory”

  • 2025-02-09 (Sun) 20:54
  • 総合

 福岡は寒い日々が続いている。先週はついに初めてネルのズボン下を着用した。ロンドン勤務時代にモスクワ取材に備えて上下を購入していた。帰国してからはほとんど着たことがなかった。箪笥の奥にしまっていたそれを引き出した。上半身はコートとマフラーで何とかしのげるが、下半身は心細い。ふんわりしたズボン下を着るようになってずいぶん温かく感じるようになった。もっと早く気づけば良かった。これからはこのズボン下着用が欠かせなくなりそうだ。
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 韓国語はYouTubeを利用して常時、無料の講座を聴取しており、少しずつだが、力をつけているような気がする。とはいえ依然、初級に毛の生えたレベルか。中国語は見劣りする。NHKラジオの初級講座を聴いていても、いまだにピンイン表記に迷うことがしばしばだ。最も自信がないのは声調。悲しいかな何度聴いても?のままのことが多い。中国語の達人と思われる高齢のお方のブログを読んでいて、年齢を重ねると、一番最初に記憶があやふやになるのは声調だと書かれていた。そういうものらしい。
 それだけに音を聴いて、すっと正しい声調が頭に浮かんだ時はとても嬉しくなる。先週末ラジオから、乱暴にカタカナ表記すると「ルースー」という単語が流れてきた。私はとっさに「緑色」という語だと分かった。嬉しかったのはlǜsèというピンイン表記も正しく推量できたことだ。lǜもsèも日本人には苦労する音であり、「ルースー」と日本語のように安易に発声することはできない。
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 トランプ米大統領が再登場して以来、気分が滅入ってしまい、新聞の国際面も熱心に読むことはなくなってしまった。ネットでBBCやCNNの記事を読むことも格段に少なくなった。それでもネット購読している米高級誌ニューヨーカーの時事コラムだけはなるべく読むようにしている。最新号に編集長のコラムがあった。著者は国際情勢に精通しているデイヴィッド・レムニック氏。“The Madness of Donald Trump”という見出しにひかれて読んだ。
 トランプ大統領のmadness(狂気)はいろいろあるが、最新のものは何と言っても米国がパレスチナ自治区ガザを「所有」するとした発言だろう。パレスチナに住むパレスチナ人を追い出す暴挙であり、これが中東和平に直結するとは到底思えない。イスラエルのネタニヤフ首相にとっては飛びつきたくなる構想だろう。ガザからイスラム過激派のハマス勢力を一掃することになる。しかし、これはいわゆるエスニッククレンジング(ethnic cleansing:民族浄化)であり、国際社会が容認することはあり得ない蛮行だ。madman(狂人)を装い、有利な状況を作り出す外交手法を “madman theory” と呼ぶらしい。常軌を逸した言動で相手を恐怖に陥れ、翻弄する戦略だ。大統領は不動産的な構想であり、地中海に面したガザを中東のリビエラにしたいのだと正当化した。入れ知恵したのは誰だ。長女の婿でイスラエルが祖国のジャレッド・クシュナー氏 の顔が思い浮かぶ。大統領お得意のはったりだとしても、理性的な為政者からはほど遠い暴君が君臨する国々に間違ったシグナルを送るのではないかと危惧する識者の意見も紹介されていた。

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