- 2024-11-26 (Tue) 23:33
- 総合
英語の授業で英字新聞について語ることになった。それで実際の紙面を使って語ろうと思った。残念ながら、かつて勤務し、新聞社を退社後も長年購読していた英字紙ジャパン・ニュース(JP)は今年1月から購読をやめている。コンビニや書店には置いていないことを承知している。近くにある市の図書館分館にも置いていない。それで思った。JR博多駅まで行けば、構内のお店で売られているかもしれないと。記憶が定かでないが、大阪駅では普通に英字紙が販売されていた。それで博多駅まで出かけ、構内をあちらこちら歩き、念のため、新幹線乗り場にも入場券を買って入って探したが、見つけることはできなかった。アジアへの表玄関とか国際都市とか標榜しているが、福岡市の実態はこんなものだ。
以前にJPがどうしても必要な時に、読売新聞の販売店にお願いして一部届けてもらったことがあるが、その料金150円を払うために後日、販売店まで歩いたが、方向音痴なこともあり、行き着くのに往生したことがある。それもあって、今回は県立図書館のお世話になった。県立図書館にはJPが置いてあることを知っていた。幸い地下鉄で楽に行けるところにある。それで数日前にその図書館に出かけた。授業で使いたいと思っていた紙面を読むことができた。コピーもした。しかし、福岡市のような都市部に住んでいて、英字紙を読むのにこんなに苦労するとは思いもしなかった。複雑な心境になる。
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読売新聞の購読はずっと続けている。じっくり読む記事の量は激減した気がしてならない。一面の見出しにさっと目を走らせ、国際面をめくり、続けて社会面、運動面にとぶ。気になる記事があれば時間をかけて読むことになるが、そうでなければ、ざっと5分程度で済ませてしまう。愛着ある新聞に対しこのようなことは言いたくないが、何だか読む魅力が年ごとに薄くなっているような・・・。
そういう私でも毎日必ず読んでいるコラムがある。生活面の「人生案内」。普通に言えば「人生相談」か。JPでは「人生相談」の英訳を “Troubleshooter”として転載している。troubleshooterは辞書には「(機械の)修理係、(紛争の)調停人」と載っている。人生相談的に言えば、問題(悩み)を解決してくれる人という意味か。読者のさまざまな悩み事に学者や作家、有識者など個性豊かな人々が助言を与えている。
他の全国紙や地方紙でも似たような読者の投稿に基づく人生相談のコラムがあるのか知らないが、私が現役時代に読売新聞の「人生案内」は外国人読者に好評だった。読売新聞を読んでいるわけではなく、JP(当時はDaily Yomiuri)の “Troubleshooter” を読んでいた外国人読者だ。一般読者の悩み事相談を通して日本社会が垣間見えたのだろう。
私は大学で教えていた頃はこの“Troubleshooter”を教材として活用させてもらっていた。熟練の英字記者が読売新聞の「人生案内」を忠実かつ巧みに翻訳していて、分かりやすい英語を身につけようとしている学習者には打って付けの教材だった。ふと気になったので、読売新聞のホームページからJPにとぶと、今も毎週土曜日のJPの紙面に掲載されている2本の“Troubleshooter” が無料で読めるようになっている。英語学習者には意外と知られていない役に立つ「教材」ではないかと思う。
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