- 2023-06-03 (Sat) 13:21
- 総合
人はなぜ本を読むのか。ほぼ隔週の日曜日にオンラインで開いている短編小説を読む英語教室で先月取り上げた作品の中にこのことを記述した一節があった。著者はギリシアの作家で “Where They Always Meet” という作品。中年の通信社の女性記者マリーナが夜勤の仕事に就いていると、一人の風変わりな若い女性が闖入してくる。闖入者は開口一番 “Good evening. I’m Stalin’s granddaughter. Putin is after me, wants me dead. You have to help me.”と訴える。
旧ソ連に君臨した独裁者で1930年代に国民を大量虐殺したと言われるヨシフ・スターリン(1879-1953)の孫娘とはただ事ではない。彼女は自分をマリーナ・アリルーエワと名乗る。マリーナはアリルーエワを追い出すわけにもいかず、メモを取りながら、彼女の数奇な半生に耳を傾ける。そうした中で飛び出すのが冒頭の問いだ。アリルーエワはマリーナに問いかける。“Do you know why people read?”
アリルーエワの答えは単純明快だ。彼女は続けて次のように語る。“We read because we want to live more than one life.” 多くの人が彼女の答えに同意するかと思う。私もその一人だ。一度だけしかない人生。せめて書物の中で多くの「人生」を疑似体験し、自分の人生に少しでも潤いを与えたい。もちろん、単にそれだけでない人もいることだろう。そもそも人生に意味などあるのか。善人であれば天国が待っているのか。死後の世界はあるのか。死んでしまえばそれで終わり、あとは無の世界が延々と続くのであれば、物足りなく思う・・・。
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先週、兄一家が京都から来福し、楽しい会食のひとときを過ごした。長男の嫁さんも可愛い男の子を連れてやってきてくれた。兄にとっては初孫だ。これまでスマホの画面上で見たことはあるが、対面して会うのは初めてのこと。生まれた当初は私に似ていたらしいが、2歳になった今は長男にそっくりだと思った。兄弟の多い私は甥っ子、姪っ子も少なくない。これが甥っ子としては6人目。翻って生涯独身の私には子供も当然ゼロであるのは悔いの残る人生。上記の小説の登場人物の言葉を借りれば、“I want to live once more from the start.” となるのだろうか。いや、学生時代からでもいいが、リセットが効かないのも人生だ。
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帯状疱疹の痛みからまだ解放されていない。もう書き飽きた気もするが、このブログは備忘録でもあるから、また書いておかねばならない。帯状疱疹を発祥したのが正月明けだからもう5か月が経過したことになる。こんなに長く一つの病(やまい)に取り付かれたのは初めてのこと。気も滅入る。
症状は快方に向かっていると信じているが、数日前の朝の寝起きは辛かった。背中の痛みは治まりつつあると思っていたが、寝起きに背中が酷く重かった。痛くはないのだが、どんよりとした重さとでも呼びたいような陰鬱な気分に陥った。いやはや、なんだこれは!という思いだ。実は今は市内のペインクリニックに行き、週一回ブロック注射というものを受けている。これが最後の頼みと思っている。これで効果がなければどうすんべ?いやもうその先のことは考えたくもない。神様に快癒を祈るしかない!
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