- 2014-07-29 (Tue) 21:39
- 総合
私は新聞の折り込みチラシを参考にして、買い物に出かける習性はさすがにまだ身に付いていない。だから、時々大量のそうしたチラシが入っていると、勘弁してもらいたくなる。まあ、こうしたチラシを普段の買い物に役立てている人もいるだろうし、新聞販売店にはこれが貴重な収入源なのだろうから、仕方ないかと割り切るしかないが。
先日、鍋敷きに使ったチラシの文面に何気なく目をやっていたら、本日29日の土用の丑の日の宣伝が載っていた。近くの回転寿司で鰻丼を供するという。鰻丼か。長いこと食べてないなあ。郷里の宮崎・西都に「入船」(いりふね)という名の鰻の名店がある。かつては帰郷するたびに必ず立ち寄り食べていた。あそこの鰻重を食べたら、しばらく他店のそれは食べられなくなるほど美味い。
もっとも一番美味かった鰻は故郷の川で自分が獲ったウナギだ。私の村では「かせばり」と呼んでいた漁法。釣り糸の先に付けた大き目の釣り針に小魚や大きなミミズを仕掛け、夕刻、ウナギの潜んでいそうな岩場に垂らしておき、早朝、川に再び足を運び、引き上げる。運がいいと、ウナギがかかっているという具合だ。釣り糸を手繰った時のぐっとくる手応えは胸躍るものがある。要領の悪い私はウナギを仕留めるのは稀だったが、それでもたまに仕留めることもあった。そんな時は長兄がウナギの頭に錐(きり)を打ち込んで、さばいてくれた。炭火で蒲焼にして食べる鰻。不味いわけがない。いつかまた味わいたいと思う故郷の美味だ。
チラシによると、鰻丼が580円(税抜き)だという。格安ではないかいな。
最近の回転寿司店はデジタル化が進み、便利さこのうえないようだ。頭上のスクリーンから鰻丼の絵柄を選んでプッシュ。ベルトコンベヤーは二層あり、下層のベルトコンベヤーに乗って回ってくる鮨の類は無視する。しかしほとんどの品が100円とは。思わず手を出しそうになるがぐっと我慢————。待つこと5分ほど。上層のベルトコンベヤーに私が注文した鰻丼が回ってきて、目の前ですっと停止した。お見事!
さすがに580円の低価格とあって、鰻は一切れ。山椒を振りかけ、パクつく。うん、まずまずか。文句は言えない。あと一切れあればなあと思いながら、あっという間に平らげた。
近くに座った若者は鮨の皿を美味そうに積んでいる。あ、うらまやしい!
まあいい。本日の目的は鰻丼にあった。満足して帰ることにする。食した時刻が中途半端だったが、肴に工夫して夕刻に焼酎をなめれば、胃袋君は納得してくれるだろう。
ところで、「回転寿司」の英訳は sushi-go-round だとか。その寿司店はa revolving sushi bar となる。a sushi bar where customers select their food from a revolving conveyor belt という説明もある。回転寿司は確か大阪万博の時に初めて脚光を浴びたと記憶しているが、今や欧米でも見かけることのある寿司店形式となっている。私の体験から言えば、味の方はもちろん保証できないが。
ニホンウナギは絶滅危惧種の魚とか。本日の夕刊でも「節度ある食べ方」を訴える記事が出ていた。私の田舎ではウナギは普通の魚と異なり、霊的な魚だと教わったような記憶がある。だから、かせばりで獲ったウナギがあまりに小さい時は一日ほどバケツの中で「観察」して、翌日元の川に返しに行った。大きくなったら「再会」しようねと・・・。
(写真は、回転寿司店で食べた鰻丼)