Home > 総合 > テレサ・テンの「つぐない」(偿还)

テレサ・テンの「つぐない」(偿还)

  • 2021-09-16 (Thu) 11:59
  • 総合

20210916-1631761026.jpg コロナ禍で公民館の中国語講座が今月一杯、休講となっている。以前にも休講措置となったことがあるが、やはり週一の講座がなくなると残念ではある。NHKラジオの中国語講座が生活のリズムとなっていて、それなりに刺激になってはいるが、中国語が母語のネイティブ話者の生の中国語を耳にするのとはまた別だ。
 それでYouTubeを活用してさまざまな中国語のチャンネルをクリックしている。中国のお笑い番組のようなものもあり、時々のぞいているが、さすがにそのスピードにはついてはいけない。中国語の歌も時々聴いている。最近はテレサ・テンの歌をよく聴いている。彼女が眠る台湾のお墓に足を運んだことはこのブログでも書いた。(2019年4月15日の項を参照あれ)
 彼女が日本語で歌っている歌は私も好きで、一頃はよくカラオケで歌ったこともある。ただし、私は編曲が得意で、世の人が歌うテレサ・テンの歌とは若干異なる部分があるかもしれない。(要するに音痴=tone-deafと言っているのだが)。「時の流れに身をまかせ」などは昭和の名曲だと思う。「つぐない」も嫌いではない。「窓に西陽があたる部屋は・・」で始まり、「子供みたいなあなた」と続き、「あすは他人同志になるけれど」で終わる。何と言う切ない歌だろう。男女の別れを歌ったものであることは間違いないだろう。
 ただし、歌詞の中で私は以前から納得のいかないくだりがあった。次のくだりだ。「愛をつぐなえば 別れになるけど」。「愛をつぐなう」とどうして「別れになる」のだろう?私は理解ができなかった。今もできない。まあ、昭和の情念が流れていると考えれば、あまりこだわらずに聞き流せばいいのかもしれない。どうせ「明日からは他人に戻る」のだから。
 中国語を学んでいるからふと、中国語ではどう歌っているのだろうと思い、チェックしてみた。ちゃんとあった。中国語のタイトルも「つぐない」という意味の「偿还(償還)」だ。歌詞は日本語の歌とは少し異なるようだ。「西陽があたる部屋」も出てこないし、「子供みたいなあなた」というくだりもない。二人が「別れる」ことは間違いないようだが。
 中国語の歌詞からは二人の関係が「道ならぬ愛」だったことがうかがえる。次のくだりだ。
 「爱的心路旅程 只能够你我两个人 不可能是我独徘徊 也不可能三人行」。ネットに載っていた訳文をそのまま引用すると「愛の旅路は私たち二人でこそ可能なの 私一人で徘徊するなんてありえない 3人もありえない」。このくだりを読んでいて、私はなぜかあの亡きダイアナ英皇太子妃を思い出してしまった。彼女が夫であるチャールズ皇太子の不倫を責めた言葉、“There were three of us in this marriage, so it was a bit crowded.” が頭に浮かんだのだ。彼女はインタビューを前にこれを言おうと準備していたのだろうか。
 日本語の「つぐない」は多少の編曲を許してもらえるなら、最後まで歌い通すことはできる。だが、中国語の「偿还」はそうはいかない。彼女の歌声を聞きながら、歌ってみるが、どうも同じ歌を歌っているとは自分でも思えない。発音が難解。公民館の中国語講座が再開するまでにはものにして、講座の冒頭のショートスピーチとして披露する手もあるなと思い始めているが、人様の前でさらす代物には到底なりえないかもしれない。お耳を汚したら、さらなる「つぐない」が必要となるかも・・・。

Home > 総合 > テレサ・テンの「つぐない」(偿还)

Search
Feeds

Page Top