- 2021-06-23 (Wed) 13:39
- 総合
巨人が阪神に6対2で快勝した翌日の紙面。運動面のトップのコラムは「母に届け 坂本250号」という見出しだった。袖見出しでは「命日『おかんも喜んでくれる』」と泣かせる坂本選手の言葉が踊っていた。だが、本文を読むと、肝心の二人の交流に関するくだりは以下の文章だけ。――この日は、07年に亡くなった母の輝美さんの命日だといい、「おかんも喜んでくれているのではないか」と、亡き母にささげる一打に思いをはせた。――
私は大いに失望した。坂本選手と母親の興味深いお話が書いてあるのだろうという期待を裏切られたからだ。コラムによると坂本選手がデビューした年に母親は死去している。息子の活躍を目にすることなく亡くなっているのだろう。「おかん」という呼び名から彼が関西の出身であることは推察される。読者に提供できるエピソードの一つや二つ、取材していなかったのだろうか。第一、コラムでは輝美さんの享年も書いてない。
東京五輪で「侍ジャパン」のメンバーに選出され、金メダルを狙うリーダーシップの役割が期待されていることなどが紹介されていたが、この日のコラムで「おかん」の話題を取り上げたからには読者が読みたいのはやはり「おかん」にまつわるお話だろう。これは卑近な一例であることは承知しているが、私は最近新聞を読んでため息をつくことがとみに増えてきた。「小言幸兵衛」にはなりたくはないのだが・・・。
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数日前から風変わりな本を読んでいる。『数学は言葉』(東京図書 新井紀子著)。数学が苦手で高校時代に微積分辺りから苦労した私はまさかこの歳になってこういう本を手にすることになろうとは思いもしなかった。
一つには新聞社勤務時代の尊敬する同僚(同期)が以前、数学の参考書を買い求め、学び直しているが面白いよと語った言葉が耳に残っていた。彼も私のように文系の人間だと思っていた。そうか、数学は還暦が過ぎて学んでも面白いのか。それで書店で何気なく書棚を眺めていて、上記の本が目に入ったので手に取ってみた。パラパラとめくって見ると、数式はあまりなく、文章が圧倒的に目立つ。「和文数訳」「数文和訳」という言葉も見える。英語を教える(考える)上で「引き出し」が増えそうな気がした。
まだ読み始めたばかりだが、なんとか読めないことはない。第3章は「和文数訳」。へえ、こんな言葉(概念)があるんだと驚いた。例題として、次の和文を英訳せよとして「カリフォルニアではしばしば雨が降ると聞く」という例文が掲げられていた。英訳は I hear that it often rains in California. となる。著者は以下のように述べている。「和文を英文に訳すとき、一語一語の英訳以上に大切なのが、文の構造を理解することです。和文を数訳する場合も同じことがいえます」。文の構造、すなわち語順の理解は確かに英語を学ぶ上でのかぎだと思う。
この後、以下のように続いていた。次の文を数訳せよ。▶ n,mの片方が偶数、他方が奇数のとき、n+mは奇数になる。(ただし、「xがyを割り切る」を表現する二項関係をx|yで表現することとする)。答えは((2|n∧¬(2|m))∨(¬(2|n) ∧2|m))→¬(2|た(n+m))。この辺りまでは何とか食いついていくことができたが、これ以降はどうなるか分からない。とにかく読み進めていこう!
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