- 2021-04-12 (Mon) 21:40
- 総合
久しぶりにゴルフの話題。松山英樹選手が米ジョージア州オーガスタで開催された栄えあるマスターズ・トーナメントで見事に優勝を遂げた。私は3日目が終わった土曜日の時点で2位に4打差をつけたのを見て、これはひょっとしたらと期待していた。スコアアップがそうは見込めない難関コースのマスターズで4打差は大きいのではと。
優勝すれば日本の男子プロにとって初の歴史的な快挙。それを見過ごすわけにはいかないと月曜の未明、午前3時過ぎにはベッドから這い出した。地上波の民放で生中継していた。松山選手は最終日も好調でハーフをターンした頃には後続に6打差をつける場面も。す、凄い!普通の大会なら楽勝の展開だっただろう。ただ、これはメジャーと呼ばれる米英の歴史ある四つの大会の中でもゴルフの祭典とも称される、参加できるだけで光栄な最高の舞台。思わぬ落とし穴が待ち受けているかもしれない。
果たせるかな、15番で彼の放った2打目の打球はグリーンを飛び越え、池の中にポチャン。そこからボギーが連続し、最終18番ホールでもボギーとなり、終わって見ればわずか1打差で首の皮一枚の勝利だった。最終盤で崩れたとはいえ、それでも優勝したのだから、立派と言えば立派。日本のトッププロが幾度も挑みながら厚い壁に阻まれたゴルフ界の最高峰の大会での優勝だ。まだ29歳の若さ。40代でも第一線で活躍するプロが少なくないゴルフは息の長いスポーツ。体格的にも飛距離の点でも欧米のプロに見劣りすることのない彼は今後もさらなる活躍が期待できる。
それはそれとして、優勝セレモニーでの会見は私にはちょっと頂けなかった。松山選手の喜びの声があまりにも「簡略」過ぎて、物足りなく感じたのだ。アメリカはやはり「雄弁は金」のお国柄。マスターズ初挑戦からの苦節10年の思い出や大学時代を過ごした東北を襲った大地震のことなど色々語ることができると容易に推察された。専属の通訳も同席していた。
オーガスタで取材した米記者はそれでも極めて好意的に彼の勝利を報じていた。次の一節。Matsuyama prefers to let his clubs do the talking. They spoke loudly Sunday, when he became the first man from his country to win a major championship. なるほど、松山選手は口ではなく、クラブに語らせる性分というわけか。次の一節には苦笑した。In America, Matsuyama remains a mystery to many, though. When it was revealed that he had a wife and daughter back in Japan, he said that he hadn’t shared that information because, “No one really asked me.” His single-mindedness is immediately apparent, though.
かつてはパットに失敗した後、不用意にパターでグリーン面を傷つけ、他のプロから手厳しく批判されたこともある松山選手だが、ゴルフ一筋に真摯に向き合う姿勢が今では海外の一流プロの間でも高く評価されるまでになっている。松山選手の大活躍で国内でもゴルフ熱が過熱することが予想される。かく言う私は去年は一度もクラブを握らなかった。時々思い出しては打ちっ放しの練習場に出かけていたが、その練習場がいつしか閉業してしまい、近くに行ける練習場がなくなったのだ。ゴルフ場で最後にプレーしたのはいつだったかも思い出せないほどだ。今年も思いっきりドライバーを振ることはないのだろうか。クラブを数本担いで歩いて行ける距離にどこか練習場があればいいのだが・・・。
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