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一日三秋

  • 2020-09-28 (Mon) 12:36
  • 総合

 秋本番。もう何度かこのブログで書いたような気がするが、一年の内で秋が一番好きだ。郷里の宮崎で何の憂いもなく気楽に過ごした学生時代を思い出す。神社の結婚式場でアルバイトに精を出していた。披露宴のテーブルに料理を置き、片付ける仕事で、休憩時に控え室で仲居のおばちゃんたちと雑談しながら賄い飯をご馳走になり、仕事が終わると披露宴で残ったタイやエビなどを詰めた折箱を下宿に持ち帰り、腹を空かせた友人たちとぱくついていた。季節は秋が多かったような記憶がある。
 その秋が近年、段々と短くなっているような気がしてならない。残暑が長いからなのか、台風の来襲で気分がそがれ、ふと気がついたら、すぐそこに冬の足音が聞こえるからなのか。今年こそゆっくりと読書の秋、スポーツ(観戦)の秋、食欲の秋を楽しみたいものだと思う。そのためにもコロナ禍が一日も早く過ぎ去ってくれることを願う。
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 秋は中国語でも秋。実際には秋天(qiūtiān)や秋季(qiūjì)と表現するようだ。声調を無視して発音を敢えてカタカナ表記するとチォウティエン、チォウジィ。韓国語では가을と表現し、発音は同様にカウル。日本語の秋により近いのは中国語の方だと思える。
 「一日千秋の思い」は中国語では「一日三秋」と表現すると辞書に載っている。この場合の「秋」はこれだけで「一年」を表すとか。ただし「三秋」とは「三年」ではなく「とてつもなく長い年月」を表現していて、日本語の「千秋」が「千年、転じて非常に長い年月」を意味しているのと同じらしい。中国語を学ぶのは日本語を学び直す作業のようでもある。
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 英字紙ジャパン・ニュースを開いてショッキングなニュースを目にした。南部アフリカはモザンビーク発で英紙ザ・タイムズの記事が転載されていた。見出しは Paradise isle favoured by the stars is taken over by insurgents linked to Isis となっていた。かつてヨーロッパのセレブのバカンス先として名を馳せていたモザンビーク北端の島々が今やイスラム過激派の巣窟となり、独自の支配地と化していると伝えていた。
 背景にあるのはモザンビーク政府の体たらくだが、私が驚きを禁じ得なかったのはモザンビークの最北部のカーボ・デルガード州と呼ばれる州にイスラム教徒が数多く居住していることを知らなかったこと。北隣のタンザニアにはイスラム教徒が居住することは承知していたが、モザンビークもそうだったとは知らなかった。ナイロビ(ケニア)特派員だった頃、モザンビークには取材で足を運んだこともある。首都マプトの優美なホテルに泊まり、広いプールで泳ぎを楽しんだことをよく覚えている。
 当時は独立以来の激しい内戦状態が続いていたが、私がアフリカを離れた後、反政府ゲリラ勢力との和平交渉が実り、内戦は1992年に終結した。しかし、ここ数年、最北部の州でイスラム過激派が跋扈するようになり、地元住民には悪夢の日々となっているようだ。イスラム過激派は中東で脅威になっているIsis(イラク・シリア・イスラム国)の指導下にあり、ここを拠点にアフリカ諸国を威嚇、影響を広げる狙いがあるのか。アフリカ諸国の政治腐敗と失政に付け入り、Isisが猛威を振るうようになれば最悪のシナリオだ。

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