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麻雀のこと

  • 2020-07-30 (Thu) 10:24
  • 総合

 最近はYouTubeで色々な映像を楽しむことが増えた。漫才ではナイツやかまいたち、それにねづっちのなぞかけなどを見ている。テレビのお笑い番組を見る意欲は失せてしまう。一般家庭で猫と赤ん坊が戯れるものもあり、猫が大好きな私はついつい見入ってしまう。癖になりそう、いやもうなったかもしれない。その他には結構、麻雀の映像に付き合っている。
 ケーブルテレビでも麻雀番組はあるのだが、最近はあまり見ない。YouTubeだといつでもごろりと横になって麻雀を楽しめるからだ。おかげでスマホは月半ばを過ぎるとデータ容量を超えるのか、通信速度が制限され、すこぶる使い勝手が悪くなっている。
 とまあそんなことはどうでもよく、今回は麻雀について記しておきたい。私は大学に入学し下宿生活で初めて麻雀に出合った。先輩たちが麻雀をするのを「よくこんな難しそうなゲームがテキパキできるものだな」と感心しながら後ろから見学していた。やがて学部は異なるが仲よくなった同学年の友人たちと卓を囲むようになり、病みつきになった。「トンナンシャーペイ」とか「テンパイ」「ピンフ」「タンヤオ」などと、語源は一切気にすることなく麻雀特有の用語を口にしていた。
 先日、公民館の中国語講座での冒頭のショートスピーチで麻雀について話そうと思い、麻雀用語は本家本元の中国では何と呼ぶのだろうと辞書やネットで調べた。思わぬ発見をした。麻雀で最も普通なそして安い上がりの手は「ピンフ」と呼ぶ。これは漢字では「平和」と書く。“peace” の「平和」ではない。その「平和」なら中国語では漢字の順を逆にして「和平」と書き「フーピン」と読む。「フー」は日本語の「フー」ではなく、下あごに力を入れ、「オー」にも似た感じの「フー」だ。この辺りの発音は私のような初学者には説明が難しい。
 中国語には「和平」も「平和」もある。「平和」は「(性格が)温和な、おとなしい」という意味であると辞書に載っている。だから私はこれまで麻雀の「ピンフ」は「穏やかなつまり安い上がりの手」と解釈していた。にしてはどうも全幅の合点は行かない。それで今回、改めてネットで調べてみた。まさにこれだという説明を見いだすことはできなかったが、どうも「一般的な上がり」という意味らしい。
 「平」の語義説明の最後の方に「普通の」「一般的な」という意味がある。「和」は「(マージャンなどで)上がる」という意味があることを初めて知った。我ら日本人に厄介なのはこの「和」も「フー」と発声するが、先に書いた「フー」とは異なる音なのだ。唇を丸めて「フゥー」と発声する感じだ。
 かくして私の今回の「麻雀用語放浪記」は一段落。それにしても麻雀の世界は当然のこととは言え、何と中国語に満ちていることか。例えば何気なく口にしていた「リャンメン待ち」とか「チンイツ」などの表現。「リャンメン」は中国語の「两门」から、「チンイツ」は「清一色」に由来している。「チンイツ」は厳密には「チンイースゥー」のような音だが。
 学生時代には徹夜麻雀の挙句に大事な講義をすっぽかした苦い思い出もある。博才のない身ゆえ、家庭教師の一か月のアルバイト代をもらった晩に卓を囲み、アルバイト代が露と消えたことも。せめてあの時に麻雀がきっかけで中国語に目覚めていたら、今頃はかなりの達人になっていたのではないかと悔いたくもなる。嗚呼、后悔不及(後悔先に立たず)。

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