- 2020-06-29 (Mon) 08:37
- 総合
断捨離。遅遅として進まないが、細々と続けている。いつかまた引っ越すこともあるかもしれない。その時に無用な物を引きずって苦労したくはない。私が手元に残しておきたいのは最低限の衣服と書籍。書籍だけは当面読み返す予定がなくとも捨てがたいのが多い。それでもこれから先おそらく一生頁を繰ることがないことが予想されるものは思い切って捨てることにした。押し入れの段ボール箱を開けてみると、続々と出て来る。
小箱が目に入った。磁器の酒器だった。「14代今泉今右衛門」作の徳利に猪口が二つ。重要無形文化財・宮内庁御用達と記されている。はて、こんなものを購入した覚えはない。何かの折にどなたからか貰ったものと推察される。全く記憶がない。徳利は一合ちょっと入りそうだ。徳利と猪口に合うのは普段飲んでいる焼酎ではなく、やはり日本酒だろう。それでコンビニから日本酒を買い求め、冷酒を楽しむことにした。宮内庁御用達ならさぞかし風流だろう。小人であればこんな細やかなことにも喜びを見いだすというものだ
◇
トランプ大統領がお気に入りのテレビ局(Fox News)のスタジオで支持者との討論会らしき番組に出ているのを見つけた。司会者は間違いなくトランプ氏が大好きに相違ない白人男性のキャスター。このキャスター氏は大統領に都合のいい質問を投げかけ、大統領も終始、上機嫌に答えていた。私の頭には「出来レース」という言葉が浮かんだ。
30分ほどの録画を見た後、本文を読んでいたら、これは word salad であると解説されていた。初めて目にした表現だ。ネットで調べると、「言葉のサラダ」とあり、「文法としては正しいが意味が破綻している文章のこと」と説明されていた。なるほどあまり意味のない言葉が長々と語られていることを揶揄した表現のようだ。確かにトランプ氏は流暢にしゃべってはいたが、ほとんど内容はないように思えた。
次のくだり。司会者が “What are your top priority items for a second term?” と尋ねた。トランプ氏は自分はこれまで才能(talent)の方が経験(experience)よりも重要と考えてきたが、経験も非常に大切な語だと思う。私は大統領に就任するまではワシントンで就寝したことなど一度もなかったと語った後、次のように続けている。“But I didn’t know very many people in Washington, it wasn’t my thing. I was form Manhattan, from New York. Now I know everybody. And I have great people in the administration. You make some mistakes, like you know an idiot like Bolton, all he wanted to do is drop bombs on everybody. You don’t have to drop bombs on everybody. You don’t have to kill people.”
なるほど、確かにword salad だ。最近、大統領にまつわる痛烈な暴露本を刊行したジョン・ボルトン氏の名前が突如として出てきている。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いのか。この番組ではボルトン氏のことを “stupid” とこき下ろし、交渉の場でボルトン氏が役立った唯一のことは、誰もがボルトン氏が maniac (狂人)だと分かっており、相手をびびらせるのに役立ったことだけだと語っていた。トランプ氏の饒舌さは a stream of consciousness narrative (意識の流れ的な語り)と形容されていた。小説の技法ならほめられもしようが、政治家が人々に語りかけるメッセージとしては愚の骨頂だろう。
- Newer: Nature calls me.
- Older: 富岳一景