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今夏の開催、風前の灯

  • 2020-03-23 (Mon) 08:41
  • 総合

 無観客の大相撲春場所が終了した。横綱を引退した荒磯親方(元横綱稀勢の里)がNHKテレビの解説者として出演していた日もあり、親方の解説にしばし耳を傾けた。風貌からは思い浮かばない若々しい美声で理路整然と相撲の醍醐味などを語っていた。
 私はそれを聞きながら、それほど理路整然と解説できるなら、まだ現役で十分やれていたのではないかいなと思った。私は稀勢の里の熱烈なファンではなかったが、白鳳や鶴竜らのモンゴル勢に伍してやっていける日本人力士は彼が筆頭だっただろう。だから当然、声援を送った。取り組み中に負傷し、それがたたり、成績不振で志半ばでの引退を余儀なくされたことに驚きもしたし、落胆もした。前例はないだろうが、平幕にまで番付を落とすのは覚悟の上で負傷を癒すことに専念し、やがて土俵に復帰して欲しいとも願った。
 それだけに今、NHKの大相撲中継で立て板に水の解説を聞いていると、何だかなあと思わざるを得ない。味のある解説はまだしばらくは元横綱北の富士氏に任せておけばいい! と言っても今更どうすることもできないことだが。
 と思っていたら、このところ、スマホのラインニュースで「北の富士コラム」というものが送信されてくる。どうもスポーツ新聞に書いているコラムを転載しているようだ。私はNHKで彼の解説をいつも楽しく拝聴しており、他の元力士の方々の解説とは比べるべくもないと評価している。最近の北の富士氏のコラムには次のように書いてあった。「荒磯親方(元横綱稀勢の里)の解説の見事さに舌を巻いている次第です。このままでは、私の首もあぶなくなる」。いや、あなたの首はまだ当分は大丈夫ですよ!
                  ◇
 新型コロナウイルス。世界中を大混乱に陥れている。何とか手を打てないものか。東京五輪・パラリンピックは各国のスポーツ団体・組織から開催中止・延期を求める声が相次いでおり、今夏の開催は風前の灯の感がある。
 イタリアやアメリカなど多くの国々で事態は深刻化の一途であり、確かにオリンピックどころではないのはよく理解できる。国際社会が一体となってこのウイルスを退治していくべきことは誰にだって分かる。政治指導者の姿勢はことさら重要であることも。
 その意味でトランプ米大統領がコロナウイルスに関して行われた共同記者会見の場でNBCテレビの記者に対し激高して放った暴言は目に余るものがあった。この人の頭脳はどういう風になっているのだろうか? 会見でのやり取りを以下に抜粋する。
 記者 “What do you say to Americans who are scared?” (恐怖におののいている国民に対しどういう言葉をかけますか?)
 大統領 “I say that you are a terrible reporter. That’s what I say. You’re doing sensationalism. And the same with NBC and Comcast. I don’t call it Comcast. I call it ‘Con-Cast.’” (私が言いたいのはあなたが酷い記者だということだ。それが私の言いたいことだ。あなたがしているのは煽情的な報道だ。NBCもそうだし、親会社のComcastもそうだ。私はだから、Con-cast [詐欺cast] と呼んでいる)
 一国の政治指導者が国難に際して国民に語りかける言葉とは思えない! いやはや!

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