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長幼序あり

  • 2020-03-11 (Wed) 09:46
  • 総合

 コロナウイルスの恐怖は身近には感じないが、世界中がその猛威にあえいでいるようだ。株価の急落は少々、株を持つ身として心配にはなる。各種スポーツも軒並み中止、延期を余儀なくされている。大相撲ファンの一人としてNHKの中継を時々見ているが、無観客の取り組みは何とも味気ない。力士も拍子抜けのことだろう。スポーツというより単に伝統技能を見ているような感覚。観客がいないのだから、立ち合いまでの仕切りなどの一連の所作を簡略化し、今場所に限り時間を短縮するのも一考かと馬鹿げたことを思ったりしているが、やはりそれは伝統と奥義を損ねる愚行と蔑まれるのだろう。
 一つだけコロナウイルスに感謝することがあるとしたなら、アメリカではトランプ大統領の再選に陰りを生じる可能性を秘めていることだろうか。コロナウイルスに対する大統領の無策ぶりが透けて見える昨今、岩盤とか称される共和党の大統領支持層の中にもさすがに愛想を尽かす有権者が出始めるのではないか。希望的観測かもしれないが。
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 先週末は既述した韓国語ドラマに長時間付き合った。「江南ロマン・ストリート」。土曜日はほぼ終日。日曜日は天神のカフェで教えている英語教室で中座した3時間ほどをのぞき、夕刻までテレビの前に座った。正直に書くと、面白かった。韓国語もだいぶ聞き取ることができたのが嬉しかった。もっとも字幕を見ながらの視聴だから、そう勝手に感じただけの可能性も否定できないが。
 ドラマを見ていて改めて感じたことを記しておきたい。まず、家族であろうと、年長者にはきちんと敬語表現を使っていることだ。子供は両親や祖父母、叔父、叔母に対し、弟妹は兄姉、及びその伴侶に対し、口喧嘩をしている最中でも「丁寧化のマーカー」といつか読んだ本に出ていた「-요」(ヨ)を末尾に付けることを忘れていない。翻って当方のドラマ「渡鬼」でえなりかずき演じる息子の眞が角野卓造、泉ピン子演じる両親に対して発するため口からは程遠い。今なお幼児の頃から年長者に対し、きちんとした挨拶、尊敬(丁寧)の表現を口にするよう厳しく躾けられている韓国社会に私は何となく敬意を表したくなる。
 ドラマでは受験戦争の韓国社会を反映して、激烈な教育ママが登場した。彼女は一人息子に学校では常にトップの成績を取るよう叱咤し、息子はそのプレッシャーから一度は自殺しようとする。最後には二人は和解するが、母親が息子になぜソウルの一流大学を目指すべきかを説く場面で、彼女が地方の大学出身ゆえに就職したソウルの会社で上司や同僚から軽んじられた過去を慟哭するシーンがあった。韓国はきっと日本に住む我々には想像し難い学歴社会なのだろう。宮崎の地方大学出身である私にはとても興味深かった。しかしながら、地方大学の何が悪いのかいな? 何をどう学んだかが大事なことではないか。まあ、私はその点でも胸を張れないのが残念だが。
 それにしても、韓国ドラマはうかつに手を出すと抜け出せなくなるから要注意だ。韓国語の勉強に役立つことは間違いないが、全120回とか全180回とかのドラマに付き合わされると日々の行動を「制約」される。しばらくまた距離を置こうと思っている。中国語のドラマは土曜日の夜に一時間半ものの番組を楽しんでいるだけだから負担ではない。

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