- 2020-02-14 (Fri) 14:39
- 総合
NHKテレビをつけると連日、新型コロナウイルスのニュースが流れている。辛いニュースだ。天気も最近は良くないが、心の中まで陰鬱になる。BBCやCNNでも大きく報じている。「震源地」に近いこちらはあまり読む気にもなれない。
それで素早くCNNをスクロールしていたら、A 25-year-old woman was brutally murdered and skinned in Mexico. Then newspapers published photos of the body というショッキングな見出しの記事が目に入った。中ほどに次の文章があった。“Femicide is an absolutely condemnable crime.” この femicide という語彙は初めて見た。homicide なら「殺人」だがと読み進めていくと、すぐに次の一文があって疑問が氷解した。Femicide… the killing of women on account of their gender… have risen in Mexico in recent years. なるほど。homicide と feminine という語のハイブリッドのようだ。「(主に男による)女性殺人」とでも訳すのだろうか。こうした混成語は英語では portmanteau word (かばん語)と呼ばれているものだ。
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中国語を学ぶようになって漢字の筆順を意識するようになった。日本語で筆順を意識したことは皆無に近い。自分でも漢字の筆順、というか書き順が変だということはずっと以前から自覚していたが、小学生の頃を含めて先生から注意されたことは一度もなかったので、筆順に留意したことはまずない。
しかし、中国語を学ぶようになって、これが変わった。第一に中国語の漢字(中国では簡体字、台湾では繁体字)は日本語の漢字と若干異なるケースが多く、ネットのサイトで確認する機会が増え、その延長線上で筆順を意識するようになった。漢字を構成する小さい点(、)などはどこに「接触」しているかが分かりにくく、視力の衰えた我が身は拡大鏡で確認するのも一苦労。ネットでそうしたことが素早く分かるのは実に有難く感謝している。
最近の例では「到底」という副詞<「dàodǐ」(疑問文で「一体」「結局」という意味>。この「底」の下部の小さい点(、)をどうやって付けるのかが悩ましかった。ネットの筆順を調べるサイトで調べると、すぐに合点がいった。かくいう次第で筆順に気を配るようにはなり、これまでいかに自分が我流の書き順で漢字を書きなぐっていたかを知った。ただし、それはそれ、これはこれで、以前にこのブログで紹介した漢字学の大家の卓見が私の「指標」であることに変わりはない。ここでそれを再掲載しておきたい。
『漢字再入門』(阿辻哲次著・中公新書)という本を読んでいる。幾つかの疑問点が氷解した。著者の阿辻氏は漢字学の第一人者だとか。嬉しかったのはその著者が漢字の「はねる・はねない」といったことや一般的に正しいとされている筆順にあまり拘泥する必要はないと説いていることだ。例えば筆順に関しては次の記述がある。「筆順とはその漢字を書くときにもっとも書きやすく、また見栄えよく書けるようにおのずから決まる順序にすぎないということです。大多数の人は右利きだから、世間で認定される筆順は右利きの者に書きやすいようになっていますが、左利きの人には当然それとことなった筆順があってしかるべきでしょう」。御意、御意。筆順コンプレックスが癒される思いだ。
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