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「节奏」と「リズム」

  • 2020-02-10 (Mon) 10:50
  • 総合

 新型コロナウイルスが猛威を振るっている。医療関係者が防護服を着て、多数の患者に対応している中国・湖南省のニュース映像などを見ていると、人類社会の世紀末の近未来を目にしているよう。しかし、このウイルスの致死率が意外に低く、死者は何らかの持病を抱えた患者だと聞くと、「本当にそんなに恐ろしい病原体なの?」という素朴な疑問を禁じ得ない。今朝の読売新聞には専門家の次のような報告例が載っていた。「軽い風邪のような症状が1週間程度続いた後によくなるか、肺炎になっても回復するケースが目立つ」と。あまり過剰な反応はしない方が賢明と思えるが、これは楽観的過ぎる見立て?
 私は平熱が凄く低い。コンプレックスを抱くほど低い。だから、風邪をひくのが怖い。普通の人の平熱でも私には高熱となる。高熱になると、寝ていてもうなされる。幸い、この冬はまだ一度も風邪をひいていない。らっきょう酢の野菜のピクルスが役立っているのか、隔日、あるいは数日おきには続けているスロージョギングが効果を発揮しているのか。まあしかし、慢心していると、必ずしっぺ返しを受けるから、油断は禁物だ。
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 日本では報道されていないようだが、東アフリカ・ケニアのダニエル・アラップ・モイ元大統領が死去した。私が新聞社のナイロビ支局で働いていた時の大統領だ。残念ながら、近くで取材したことはない。彼は外国人記者の前で共同会見を開くことは皆無だった。東西冷戦の真っ只中だったこともあり、ケニアの治安状況は比較的穏やかで、今のようなイスラム過激派のテロ活動もまだ起きていなかった。ケニア国内のどこを旅しても、「ジャンボ。ハバリガニ?」(こんにちは。ご機嫌いかが?)と人々に声をかければ、「ジャンボ。ムズリサナ」(気分はいいよ)と笑顔で応じてくれた時代だった。
 だからといって、モイ政権が善政で国民の支持・人気を集めていたわけではない。実態はその反対だ。モイ政権は長く強権、独裁で知られ、政権に異を唱える政治家・活動家は容赦なく弾圧された。表沙汰になることはあまりなかったが、大統領に疎まれた人々に対しては投獄・拷問、場合によっては殺害も厭わなかったと言われる。ケニアの代表的地元紙をネットで読むと、ウフル・ケニヤッタ大統領は弔辞でモイ氏を “an iconic leader”(アフリカを代表する指導者)と称賛しているが、ケニア国民の中には違和感を抱いた人々は少なくないのではと正直思う。ネルソン・マンデラ氏とは比べるべくもない、対極にいた人物だ。
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 中国語で「节奏」という語に出くわした。日本語流に書くと「節奏」だが、意味の類推は難しい。あっさり降参して、辞書を引き「リズム」という語だと知った。声調を含めた発音は「ジエ⤴ゾウ⤵」。韓国語ではリズムは何と言うのだろうと興味を抱き、辞書を引いてみる。「리들」とあった。発音は「リドゥル」。こっちは音を聞けば、何となく納得する。
 英語のスペリングは rhythm だから、日本語と韓国語は間違いなく、英語を基に作った語彙であると推察できる。リズムとリドゥル。どちらが英語の音により近い音かは別にして、中国語の語彙は中国語固有の語であり、英語のrhythm の影響は受けていないことが分かる。日中韓のこうした「言語差」を知るだけでも私にはとても興味深い。

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