Home > 総合 > 節分、立春、生日

節分、立春、生日

  • 2020-02-05 (Wed) 11:48
  • 総合

 さあ、もう2月になった。拙文、いや節分、立春と来て、今日5日は私の誕生日。66歳になった。もう立派な老人だ。問題は本人に全然そういう自覚がないことだろうか。体力的にも精神的にも「老いた」という認識がない。私の世代の人は皆そうなのかもしれないが。
 ただ、最近よく考えるのは、我と我が身を亡き父親のそれと比べて考えることが増えたことだ。私の父親は宮崎の田舎で平凡な人生を歩んだ。村の小さな郵便局に勤め、定年後は山林や田畑の仕事に勤しんでいた。毎晩の晩酌が欠かせず、酔うとお袋や子供たちにあたっていた。そういうときの親爺は嫌だったが、特段嫌いな父親ではなかった。
 父親は私が大学卒業後、教師になることを望んでいたようだったが、新聞記者の道を選んだ私は不肖の息子だったのだろう。まあそんなことはどうでもいいのだが、親爺に勝てないと思うのは、4男3女の子供を育て、田舎でのどかに暮らし続けたことだ。いつぞや、イギリス文学紀行本をものにするため英国を歩き、ジョージ・フォスターゆかりの地を取材した折に、彼の代表作の中に田園地帯で農作業をする人々が最初に「日光の益」を受け、「日光とともに暮らし」ており、彼らこそが「イングランドの希望」だと称賛される一節があった。私は親父を始め、郷里の山里に住む人々を思い浮かべた。私には親父がそして村人が羨ましく思えた。私が知る村人の多くはこの世にはいないが、私は逆立ちしても彼らに勝てない!
                  ◇
 東京からかつての同僚が奥方を伴い、福岡を訪れた。福岡の元同僚と一緒に4人でランチを楽しんだ。昔話にあれこれ花を咲かせていて、昨今の暖冬に話題が及んだ。東京から来た同僚が「そういえば、ずいぶん昔、植木等が温暖化進行曲とかいう歌を歌っていましたね」と言った。知らなかった。そういう歌があるのを。しかも行進曲ではなく、進行曲とは!
 帰宅後、ネットで調べてみた。あった。植木等がクレージーキャッツとともに歌っていた。1990年の作。例によって「日本一の無責任男」の名にふさわしく、ハチャメチャの歌詞だが、驚いたのはこの「地球温暖化進行曲」が30年も前に作られていたことだ。
 一番の歌詞は次のよう。♪♪地球が暑くなって どこわりい 暖房いらずでいいじゃないか 水道ひねれば温泉で 牛乳しぼれば粉ミルク ソレ! どんどんだんだん 温暖化 こんな地球に誰がした けっこう毛だらけ灰だらけ けっこう毛だらけ灰だらけ♪♪
 世界中で猛威を振るう異常気象の元凶が地球温暖化(global warming)と言われる。国連やダボス会議の場などでこんな歌を大真面目に歌っていたら、総スカンを食らうこと間違いないだろう。
 「地球温暖化進行曲」はともかく、無責任男を売りにしていた往年の植木等が活躍する映画に描かれた日本はのどかで底抜けに明るい。信じられないほど能天気な社会が垣間見える。もはや、あのような世の中はもう二度と出現しないのだろう。ちょっと寂しいような気がしないでもない。だが、少なくとも私の世代はそういう時代の「残り香」はかがせてもらった。昭和の後半、平成の世代、そして令和の世代にはそれは望んでも叶わない。可哀そうと言えば、大きなお世話かもしれない。私の世代が味わえない夢のような世界がこれから待っているのかもしれないのだから。ぜひ、そうなって欲しいと心から願うが。

Home > 総合 > 節分、立春、生日

Search
Feeds

Page Top