- 2019-08-14 (Wed) 20:06
- 総合
お盆の週。ずっと福岡で暇を持て余すつもりでいたが、急きょ宮崎の山里の郷里に帰ることにした。帰ると言っても実家のそばにあるお袋や姉のお墓に手を合わせるだけのこと。お袋の墓に手を合わせたいと願ったのには訳がある。母親のお墓を拝む理由など世間の人には特別の理由もなかろうが、親不孝者の私にはそれがある。このブログでこんなことを書くのは恥ずかしいが、あえて記すと、私は昔から身体の不調があると、あ、お袋に不義理をしているのではないかいなと思っている。きちんとお墓参りをしていないのでは。
最近右肩に違和感がある。手を上げて上にある物を取ろうとする時などに鈍い痛みが走る。嫌な感じの鈍痛。すぐに収まるので日常生活に何ら支障はないのだが、気になるといえばなる。それでふと思った。お盆の季節なのに帰郷さえしないのでお袋がシグナルを送っているのでは。それで急きょ帰郷することにした次第。宮崎まで帰れば、あとは妹が車で送ってくれる。お墓に手を合わせれば、右肩の違和感がなくなるかもしれない。
心配事が一つ。台風だ。テレビで連日、超大型の台風が西日本を直撃するべく太平洋上を北上していると報じている。宮崎への上陸はなさそうだが、ほぼ間違いなく暴風雨に見舞われるだろう。最悪の場合、往路の電車が途中でストップすることだってあり得るかもしれない。それで水曜朝早起きして最寄りの香椎駅から宮崎駅行きの特急の始発に乗った。福岡は快晴とまではいかないまでも雨は降っていない。本当に大きな台風が近づいているのかと思えなくもなかった。
JR日豊線。大分駅で特急ソニックから特急にちりんに乗り換えた。4号車自由席に入って見てびっくり。乗客は私の他には一人だけ若い男性が前の方に座っている。グリーン車にでも乗車したような開放感。台風の関係で乗車を見合わせた人が多いのだろうか。まあ、確かにわざわざ台風の真っ只中に突っ込んでいく旅の人はあまりいないだろう。佐伯を過ぎて延岡に向かう車中から外は雨が降りだしたことに初めて気づいた。風はないようだ。
香椎から宮崎まで5時間40分の旅程だから、スマホのらじる&らじるでNHKラジオを聞く。第二放送で物語の朗読をやっていた。「耳なし芳一」。お盆の時期にはうってつけの朗読だろう。何となくイヤホンで聞いた。芳一という名の若い琵琶法師が源平合戦に敗れた鎧兜の悪霊に取りつかれる。悪霊が芳一を連れ出さないように寺の和尚さんが抱一の裸身にお経を書く。その夜、悪霊がまたやって来る。芳一の名をいくら呼んでも芳一は和尚さんに言われた通り、返事をしない。悪霊はしかたなく、お経を書き忘れたがために目に入った二つの耳に近づき、・・・という佳境で放送が突然途切れた。電車がトンネルに入ったのだ。日豊線ではトンネルが多い。短いトンネルなら放送中断はないが、ちょっと長めのトンネルではその度に中断する。
まあ、贅沢は言えない。風雨が強まり、電車が途中で止まる事態に比べれば何でもない。実際、高鍋に入った辺りから左に見える海岸に押し寄せる白波が不気味に映った。
この調子だと宮崎までは何とか到着することができそうだ。本日の夜以降も大きな被害を出すことなく台風が駆け足で通過してくれることを願う。郷里に向かうのは土曜日の予定。それまでは宮崎市内のホテルの温泉に浸かるつもりだ。右肩も少しは癒されるかもしれない。これは妹が手配してくれた。実にありがたい。