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magic or tragic?

  • 2019-06-18 (Tue) 10:02
  • 総合

 壁に吊り下げてあるクーラーのスイッチにまだ手が伸びていない。あとどれだけ我慢できるだろうか。去年の手帳やブログで確認すると、去年は7月1日にクーラーを入れている。少なくともあと2週間の我慢か。日中の日差しは段々と強くなっているが、朝夕はまだ涼しい。この涼しさが当分続いてくれることを願わずにはおれない。それでなくとも、私の部屋に差して来る午後の西日は凄まじい。やがてちょっとしたサウナ状態になる。
 香椎浜でのスロージョギングも段々と億劫になりつつある。水は高きところから低きところに流れるがごとく、ともすると、まあいいか今日もお休みにしようなどと楽な方、低き方を選んでしまうのが情けない。この夏も週に数日は走り続けることができるのか、自分でも興味津々。意思の強さが試される夏だ。汗をかいた後の冷えたビールや焼酎のロックの誘惑に耐えることができるかどうかもだ。飲酒(焼酎)は週末だけと決めている。
                 ◇
20190618-1560819734.jpg BBCのニュースをチェックしていて、気になる見出しの記事があった。“India magician disappears in river after Houdini trick” という見出し。前文は次のようになっている。
 An Indian magician, who attempted to recreate Harry Houdini’s famed trick by jumping shackled into a river, is feared dead. Chanchal Lahiri was meant to escape and swim to safety but did not emerge from the Hooghly river in West Bengal state.
 見出しのHoudini trick とは何ぞや? 電子辞書で調べると、Houdini の項で次のように載っている。「脱走の名人;逃げるのが上手な動物。ロープ・鎖・箱などからの脱出芸で有名なハンガリー生まれの米国の奇術師 Harry Houdini に由来」。なるほど。改めてネットで調べると、由来となった人物はハリー・フーディーニ氏(1874-1926)で、「脱出王」の異名で一世を風靡した奇術師(magician)らしい。
 インド人の Chanchal Lahiri 氏は16日の日曜日、西ベンガル州のフーグリー川でフーディーニ氏が得意とした水中縄抜け術を披露すべく、両手両足に六つの錠をかけられ、鎖を巻かれた状態で水中に投下されたものの、どうやら浮かび上がって来なかったようだ。
 私の目がとまったのは、次の一節。このイベントを取材していた地元紙のカメラマンJayant Shaw氏がBBCに語った一言。“I asked him why he risked his life for magic,” Mr Shaw said. He [Mr Lahiri] smiled and said, ‘If I do it right, it’s magic. If I make a mistake, it becomes tragic.’”(私はラヒリ氏になぜマジック<奇術>に命を懸けるのかと尋ねました。ラヒリ氏は笑って答えました。「成功すればマジックだ。しくじったら、トラジック<悲劇>だ」
 magicとtragic。綺麗に韻を踏んでいるが、命を失ってしまっては元も子もない。英文の記事を読んでいて、こんなに悲しい脚韻の言葉を目にしたのは初めて。BBCのホームページをその後もチェックしているが、ラヒリ氏の消息は伝えられていない。縄抜けに失敗し、溺死したものと見られているようだ。まさか、数日後にどこからか現れ、無事な姿を見せるようなことはないだろう。そうなれば、行き過ぎたshowmanship(観客を引きつける手腕)と非難を浴びることになるのだろうが。

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