- 2018-03-25 (Sun) 22:22
- 総合
喫茶店からの帰途で目にしたのは山車行列。福岡で5月の連休時の恒例行事「どんたく」を思い起こすような賑わいだった。「天佑花蓮」という文言が見える。英語がよく通じず、詳しい事情は聞けなかったが、先月の大地震の慰霊・復興を祈願してのイベントのように感じた。大音響のスピーカーを積んだ車も通り、とにかく大盛り上がり。見物の市民もスマホやカメラをかざして写真撮影に余念がない。私も何枚も写真を撮らせてもらった。
ふと気がつくと、夜市が催される会場の近くにいた。正式には「東大門国際観光夜市」と呼ばれるらしい。まだ夕刻前なのでそう人出はない。夜のとばりが下りる頃は賑わうのだろうか、と思い、後で引き返してみようと思いながら、ホテルに戻った。
辺りがすっかり暗くなった午後8時過ぎに再び、夜市に足を運んだ。原住民一條街とか各省一條街とか四つの街区に分かれて実に多くの店が並んでいる。屋台の裏手にテントがけのテーブル席が数多く用意されており、くつろいで食事ができるようになっていた。私の目当てはもちろん食べ物だが、家族連れで来た子供たちにはゲームが楽しみなようだ。ゲームは日本で言えば昭和30、40年代に流行ったかと思われるような素朴なものが多かった。
私は肉を中心に目にとまったものを胃袋に収めた。豚肉か猪肉かよく分からないが、バーナーで丁寧にあぶったものが美味かった。竹筒に入った米も気に入った。海産物も豊富でエビやホタテを焼いてもらった。エビを食べている時は少しだけ焼酎を飲みたくなったが、ペットボトルのお茶で乾きを潤した。士林夜市でも思ったことだが、ここでは毎夜、このような人出で賑わうのだろうか。外国からの観光客だけでなく、国内各地からの訪問客も少なくないのだろう。しかし、台湾の人々は基本的にお祭りの雰囲気が好きなのではないか、また皆で外で食事するのが好きなのではないかと思えてならない。
夜市の一画ではトランペットや管楽器による演奏会が催されていた。演奏しているのは懐かしい日本の演歌。さすがに日本語の歌詞まで「披露」されることはなかったが、地元の人々の耳にはどう聞こえているのか、気になって仕方がなかった。
不思議に思って私とそう年の変わらないような男性に声をかけたら、この人は私と同じ日本人観光客だった。3回目の台湾訪問で、すっかり台湾が気に入り、今回は台湾全土をゆっくり一人で旅しているのだとか。「いいところですね。皆さん親切で快適に旅をしています」と彼は笑顔で語った。全く同感。
「他に何か印象に残っていることありますか?」「そうですね。夜市のような場でも、酔っ払いの姿を見かけることがないですね」「ああ、確かに。言われてみれば、そうですね。どこか本で台湾はあまり飲酒の文化がない、と書いてあるのを読んだことがあります。それと関係あるかもしれませんね」
旅先でも基本断酒の生活を続けている身には、酒がなくとも何の不便も感じない。それで彼に言われるまで、酔っ払いの姿を見かけることが皆無に近いことに全く気付かなかった。限られた経験だが、ここのテレビを見ていて、ビールのCMを目にしたことがなかったような気もする。日本では各社のビールCMがほとばしるように流れているのに。これも興味深いと言えば興味深い。
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