- 2017-10-07 (Sat) 10:04
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イギリスの作家、カズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞を受賞した。NHKを筆頭に日本のメディアは大騒ぎしている。予想外との声も多かったようだが、私は前から彼は必ずノーベル文学賞を取ると思っていた。返す返すも残念だったのは新聞社のロンドン支局勤務時代に彼にインタビューする話があったのだが、先方の都合でドタキャンされたことだ。
私は彼の作品の大半は読んでいる。”Never let me go”(邦訳『私をはなさないで』2005年)も良かったが、“The Unconsoled”(邦訳『充たされざる者』1995年)が一番印象に残っている。イシグロ氏とのインタビューの話が舞い込んできた時に急いで読んだ記憶がある。カフカを彷彿とさせるよう不可思議な展開の物語だった。支局助手のルーシー嬢は「ミスターナス、私、こんな支離滅裂な小説、付き合いきれません」とあきれていた。以下の一文は拙著『英語でさるく』(2008年)でイシグロ氏のことについて書いたものだ。彼の代表作の一つ、“The Remains of the Day”(邦訳『日の名残り』1989年)が念頭にある。
We do not need to wait until the “evening” of his literary work to recognize that Ishiguro has a sparkling talent as a storyteller.(私たちはイシグロが物語作家としてほとばしる才能を秘めていることを、彼の作家としての晩年を待つまでもなく知ることになるだろう)
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大家さんから少し前に冬瓜を頂いた。大きさが半端ない。ラグビーボール二つ分ぐらいある。大家さんからはざっと料理法を説明してもらったが、料理音痴の私には一度聞けばそれで分かるというものではない。ただ、当分の間は台所の片隅に放置しておいても何ら問題はないと言われたので、しばらく放っておいた。
台北から持ち帰った文旦は放っておいたら、瑞々しさがいくらか失われていた感じがした。冬瓜はいかにと思い至り、まな板の上で包丁を入れた。やっとこさ、二つに切り分けた。インターネットの料理法のサイトに書いてあったやり方を真似して短冊状に切った。まず味噌汁の具にしてみた。あまり期待はしていなかったが、これが案外いけた。
塩麴を混ぜるだけで美味い漬物になるという指摘もあったので、これも真似てみたが、こちらは期待したようには出来上がらなかった。まあ、しかし贅沢は言えない。味噌汁の貴重な具にできただけで満足だ。まだ、たくさん残っている。
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プロ野球。気乗りしないまでも応援はしてきた巨人は4位に終わり、プレーオフへの進出は断たれた。これでいいのかもしれない。今年のようなぶざまな戦いぶりで優勝チームの広島に間違って勝ち、日本シリーズに出るような事態に至れば、返って恥ずかしい。
米大リーグは田中マー君とダルビッシュ投手が所属するチームがプレーオフに残った。残念なのは本来ならエースとしてプレーオフ初戦に登板してしかるべきマー君が3戦目の登板へと「格下げ」されたことだ。彼の今年の戦績・内容からはこれは妥当な判断だろう。5ゲーム制のプレーオフ第一弾で3戦目がどういう意味合いを持つ試合となるのかまだ分からないが、マー君のプライド、意地を見てみたい。
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