- 2017-09-14 (Thu) 11:16
- 総合
台北のホテルで中国語のドラマを見ていても、全然理解できない。漢字の字幕が出るから、部分的に意味は類推できるのだが、瞬時の字幕だからとてもついていけない。これまで独学してきた中国語の発音とは大きな差異があるように感じる。私のような者には台湾語とさえ思われる。
聞くところによると、ここでは台湾語は食事をしたり、電車に乗ったりといった日常生活では普通に使われているが、抽象的なこととか政治的なこととか「高度」な話題を語る時には北京で話されている中国語(台湾では国語と呼ばれる)となるのが自然だとか。小学校に入り中国語を習得する時点で台湾語の「進歩」がストップするような印象を受けた。
それでは台湾の人々にとって母国語は何になるのだろうか。台北に着いて以来、頭を悩ましてきたこの素朴な疑問に答えてくれる人たちと昨夜会食する機会に恵まれた。地元で勤務する台湾人のAさん。日本語がとても達者な女性だ。同席した彼女の友人Bさんも同様。当然のことながら、日本語で会話させてもらった。
私「あなた方にとって母国語は何ですか?」
Bさん「中国語(国語)と台湾語です。二つです。一つではありません」
Aさん「中国語(国語)です。台湾語は子供の頃からあまり上達していませんから」
なるほど。そういうものか。私を含め、大概の日本人は、北京で話されている中国語を手本として学習する。その点で台北でもこの中国語が広く通用するのはありがたい。台北を訪問するにあたり、台湾語を新しく勉強することになったら、これは大変だ。
もう一つ素朴な疑問があった。台湾で使われている繁体字は中国語のように簡体字にした方が覚えやすいのではないか? 二人は即座に否定した。慣れれば何でもありません。台湾では子供たちでも何の問題もなく、繁体字を書きこなしていますよ。例えば、「愛」という字。中国語では「爱 」となり、台湾語では「愛」。中国語の「爱 」には「心」が入っていないではないですか。私たちの「愛」にはちゃんと「心」が入っている。私たちの字の方が理にかなっている。なるほど。
台湾の人々が海を隔てた中国との関係をどうとらえているかといったことも尋ね、彼女たちからは忌憚のない意見を聞かせてもらったが、これはまだ私にはここで簡単に記すだけの力はないので、今後の課題としたい。
今回の台北の旅でも基本、酒抜きを貫いていた。この夜も最初はそうするつもりだったが、蒸し暑い中をホテルからレストランまで2時間近く歩き回っていたので、のどが渇いていた。それでテーブルの上の小籠包などのご馳走を前にして、誘惑に負け、瓶ビールを1本だけ注文してしまった。実にうまかった。思わず「好喝」(ハオフー)という言葉が口をついた。あらかた平らげた頃、ふと気づくと、Bさんが勘定書を手にレジに向かっている。「あ、ちょっと、ちょっと、待ってください。ここは私が払います。最初からそのつもりだと言っていたではないですか」と抵抗したが、二人はいえいえ、今晩は私たちにおまかせくださいと引き下がらない。
飲食して、女性に、しかも初対面の女性にご馳走してもらったのは、おそらく初めての体験だろう。台北がますます大好きになった次第だ。多謝。
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