- 2017-07-17 (Mon) 13:41
- 総合
暑い! 室内の温度計に目をやると33.0度。それでもまだ少し風があるから何とかクーラーを使わずに済んでいる。もっとも、日が陰っても依然暑い。夕刻さらには深夜になっても温度計の数値はほとんど変わらない。玄関ドアを開けっ放しにできない夜にはさすがにクーラーのスイッチを入れざるを得ない。
今手元にあるパソコンのキーボードも熱を帯びたように熱い。それでふと思い出した。あれ、以前に似たような思いをしたことがあるぞ。そう、アフリカを取材して回っていた頃だ。もう7年前になるのか。国際面で今もなお悲惨な内戦が報じられる南スーダンが念願の独立を目前にしていた頃、私は首都となるジュバを連日、歩き回り取材していた。疲れ果ててコテッジ風の宿に戻り、机の上のパソコンを開けると、キーボードが焼けるように熱かった。その当時のブログを今のぞいてみると、以下のように書いている。「南アフリカやナイロビ(ケニア)の快適な温度に慣れた身には十分暑い。宿泊しているホテルは平屋のコテッジなので、部屋の温度計は日中35度を表示している。地元の人によると、それでも今(12月)は季節で言えば、冬の時期であり、3月から5月の夏に比べれば過ごしやすいという」
今読み返してみて、実に懐かしい! あの頃は懐も寂しく心細い思いをしながら旅を続けていたが、毎日それなりの取材の成果があり、充実した日々だった。
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『三国志』(吉川英治著)の文庫本を読み続けている。やっと第9巻まできた。10巻で終了となるからもう少しだ。大学では教育学部の英語専攻だったこともあり、これまでは英米文学を中心に読んできたから、中国を舞台にした小説の類はほとんど手にしたことがなかった。当時は中国語に関心がなかったのだから致し方ないか。
何度かこのブログで書いたかと思うが、それにつけても、中国という国土、文明の懐の深さを思わずにはいられない。西暦200年前後の中国大陸。後漢が衰微した後に、魏、呉、蜀という三国が鼎立していた。魏から全土の覇権を目論む曹操と彼の後を継いだ曹丕、呉を統べる孫権、蜀を率いる劉備と彼に仕える諸葛亮孔明。吉川英治という作家の「味付け」でそうした英傑らの「肉声」を目で追う。「本当にこういうやり取りがあったのだろうか?」と思うこともしばしばだが、ふと我に返れば、日本はまだ古墳時代にも至らない弥生時代の頃のお話だ。所在地さえいまだに明確でない邪馬台国の卑弥呼が朝貢したという史実が残っている魏志倭人伝が記された時代だ。卑弥呼が語った言葉の一片さえ私たちは知る由もない。そういう時代に彼らの「肉声」に物語として触れることのできる豊かさ・・・。
第8巻で劉備に仕える黄忠という血気盛んな老将が登場する。高齢を理由に出陣を諌められた彼が憤るシーンが描かれている。「昔、廉頗(れんぱ)は年八十に及んで、なお米一斗、肉十斤を食い、天下の諸侯、これをおそれ、あえて趙の国境を犯さなかったといいます。まして私は、未だ七十に及ばず、何ゆえに老いたりとて、さように軽んじられるのですか、それがしただ一人、三千余騎を率い、必ず、夏侯淵の首を取って参るでしょう」
織田信長が「人間五十年」と謡い舞ったドラマを見た記憶がある。三国志時代の中国は今の日本にも負けないような長寿社会だったのか。
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