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2024年にお別れ

  • 2024-12-29 (Sun) 15:30
  • 総合

20241229-1735453836.jpg 年賀状を書かなくなってどれぐらいか。親しい知己には身辺雑記を書いた駄文のメールをパソコンから送っているが、一年前のメールには大意、次のように書いた。――2023年は帯状疱疹罹患に始まり、それは今も完治せず、踏んだり蹴ったりの一年でした。世の中を眺めると、我々は聖書が説く「終わりの時代」に生きているのでしょうか。暦の月が二度変われば私も古希。人生がこんなに「短篇」であるとは思いませんでした。あとは淡々と引き際を見つけるだけでしょうか。2024年もかくして煩悶の中、怠惰と不作為のまま過ぎゆくことになるのかもしれません。――
 このメールに少し手を入れ、再送しても違和感はないことだろう。2025年の到来は嫌な予感しかない。人類は確実に破局に向かっているように見えると書いたら大げさか。寺社を見れば手を合わせたくもなるクリスチャンの端くれとして救いの願いは捨てたくないが。
 とあるYouTubeでアメリカの著名な経済学者であるリチャード・ウルフ氏(Richard Wolff)が2025年の世界を展望しているのを見た。彼はまもなく再登場するトランプ新政権下の国際経済に警告している。アメリカはかつての大英帝国が衰微していったように衰退の道を歩んでいる帝国であると断じている。アメリカの地位を脅かしているのは中国。中国がロシアやインド、ブラジル、南アと構成しているBRICSには新規参入を希望する国々が相次いでおり、欧米や日本など西側が無視できない勢力に成長している由。そうした現実を無視することは愚かで無謀と批判している。ウクライナ戦争が勃発した時にロシアの凋落を予測する声もあったが、BRICSを後ろ盾にしたロシアは衰える気配が見えないとも指摘している。やがて到来するのは世界大恐慌?
                  ◇
 暇があるので普段は読めない本を書店で購入して読んでいる。思えば、外国語の独学に時間をとられ、いわゆる小説の類の読書量はめっきり減っている。いや正確にはYouTubeを楽しむ時間が増えたのでと書くべきかもしれない。実際、テレビはNHKのニュースとスポーツ番組以外はほとんど見ていない。YouTubeは面白そうな番組が目白押し。正直一日中、見ていられるかもしれない。阿呆みたいだから途中でやめるが。
 そういう次第で手にしたのは地元福岡出身の作家、松本清張の代表作『点と線』。彼は著名な作家だからもちろんその名は知っていたし、作品もいくつかは聞いたことがある。だが、何と言うのだろう、「食わず嫌い」的に表現するなら「読まず嫌い」だったのだろう。たまたま足を運んだ書店でこの文庫本が目に入ったので買い求めた。短篇とでも呼びたくなるような長編小説なのですぐに読み終えた。面白かった。裏表紙に「推理小説界に“社会派ミステリー”の新風を吹き込み、史上空前の推理小説ブームをまきおこした名作」とうたってあったが、なるほどと納得した。
 作中に国鉄鹿児島本線の香椎駅とか西鉄香椎駅、香椎海岸などといった馴染みの駅名や地名が出てくる。駅名は今も残っているが、小説の舞台の昭和30年代当時とはだいぶ趣を異にしているのだろう。そういえば、時々利用する西鉄香椎駅前に作家を顕彰した記念碑が立っていることを思い出した。

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