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安眠妨げるものは?

  • 2024-07-31 (Wed) 09:05
  • 総合

 盛夏になると大リーグにプロ野球、それに甲子園での高校野球が加わり、仕事(例え雑事であろうとも)にならないことは承知していた。全部に付き合っていたら、仕事にならない。パリオリンピックのことは忘れていた。オリンピックに魅せられると、時差があるので深夜から未明まで付き合わされることになる。
 男子体操。私も高校時代は器械体操クラブに属し、練習に勤しんだ。運動神経の悪さに臆病な性格が加わり、胸を張れるような成果は残していない。まあ、卒業するまで辞めることなく練習し、卒業時には後輩たちが女子(団体体操)部員も含め、教室の一室でコーラにお菓子で細やかな送別会を開いてくれた。今も懐かしく覚えている。
 月曜夜というか火曜未明。男子体操の団体総合。日本チームは予選ではライバルの中国チームに大差をつけられた2位だったので、予選の成績を持ち込まない決勝でも分が悪いのだろうなと思っていた。日本は中国と同じ組で交互に演じる。ともに3人が演じ、3人の合計点数で優劣を競う。最初の床運動では日本は中国を上回る演技をしたが、2番目の鞍馬でエースの橋本大輝選手(東京五輪個人総合金メダリスト)が何と落下、暗雲が立ちこめた。橋本選手は予選の段階から調子を崩しているようだった。続く平行棒や吊り輪などでは中国チームの強さは証明されており、私はこれで団体の金メダルは消えたなと思い、寝ることを選択した。朝起きて銀メダルだったら御の字だろうと。
 早朝に目覚め、スマホを開いて驚いた。何と日本が大逆転の金メダルを奪取しているではないか。最終6種目目の鉄棒で中国は2人目の選手が2回も落下したのだとか。難易度を下げた普通の演技でもやっていれば2回も落下するミスは犯さなかったのではないか。首位に立った日本は3人目の演技者、橋本選手が真骨頂の素晴らしい着地を決めて金メダルを決定づけた。最終種目が鉄棒でなかったならば、大逆転劇は起きていなかったことだろう。
 私が見たビデオでは中国の最後の選手が演技を終え、日本の成績を上回ることがないと確定した時点で日本選手団は歓喜の渦に包まれた。主将の萱和磨選手は誰はばかることなく大泣きしていた。金メダルを奪還するというプレッシャーから解放されたこともあるのだろう。女子柔道52㌔級で2回戦で敗退し、連覇が消えた阿部詩選手の号泣(あれはギャン泣きと呼ぶらしい)は見るに堪えなかったが、萱選手の大泣きは不快感ゼロだった。多くの人がそう思ったことだろう。
                 ◇
 NHKラジオの英会話講座で次のやり取りが流れていた。A: My piano teacher told me some advice long time ago. B: What was their advice? 私は最初、theirというのは昨今はやりの性別を特定しない、特定したくないケースでの苦肉の策の代名詞表現かと思った。自分が男性、女性のどちらでもないという性自認を抱く、英語ではnonbinary と呼ばれる人たちは自分を示す代名詞として they や theirを選択するからだ。
 いや、そうではなかった。Aが語るピアノの先生の性別をBは知らないので、代名詞をhis や her と表現できない。だからあえて their と形容したのであり、これは英語では昔からある用法だとか。訳す場合は「その人の・・」と訳せば無難か。

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