Home > 総合 > 久しぶりのしぶこスマイル

久しぶりのしぶこスマイル

  • 2024-06-03 (Mon) 20:42
  • 総合

 南アフリカで先週実施された国民議会(下院・定数400)の総選挙。予想通り与党のアフリカ民族会議(ANC)が苦戦を強いられ、ネルソン・マンデラ氏に率いられて、アパルトヘイト(人種隔離政策)から決別し、民主国家が誕生した1994年の総選挙以来維持してきた過半数の議席数を初めて割った。ANCは依然、第一党の座は確保したものの、ANCの栄光と威厳は地に落ちたと表現したら言い過ぎか。
 総選挙の投票率は約58%。前回2019年の投票率66%から更に落ち込んだ。全人種による初の総選挙が実現し、南ア全体が高揚感に包まれた1994年の投票率は約86%だった。私は当時読売新聞のロンドン支局に勤務していて、応援の選挙取材でヨハネスブルクを再訪していた。投開票の夜、タウンシップと呼ばれていた黒人居住区にも一人で足を運んだが、普通だったらあまりに危険で行かなかっただろう。だが、タウンシップの人々はANCの圧勝を信じ、貧困からの脱却の予感に酔いしれていた。私のカメラを見つけた子供や若者たちが笑顔で群がってきたことを覚えている。
20240603-1717414839.jpg あれから30年。ネットで連日、南ア発のニュースをチェックしていたが、南アの国民、特に圧倒的多数派の黒人層がANCに抱く失望感は深かったようだ。彼らの苦しい暮らしが一向に改善の兆しが見えず、これからも期待が持てないことがANCからの離反につながったことは間違いないと思う。先行きの視界も不良。
                  ◇
 久しぶりにプロゴルフをテレビで早朝というか未明から観戦した。アメリカで行われていた渋野日向子プロ(25)に復調の兆しが見られていたからだ。最終日を迎えてトップは米国と豪州、タイの選手3人で5アンダー。渋野プロことしぶこちゃんは首位から2打差の4位からスタートした。
 ところが、優勝したのは彼女の一つ前の組、5位の2アンダーから出た笹生優花プロ(22)。上位選手が難コースにスコアを崩す中、笹生プロは最終日もアンダーパーで回り、通算4アンダーで見事に優勝。彼女は3年前にもこの大会を制しており、日本人プロとして男子を含め、メジャー大会で初の2勝を記録した。
 私は副音声で現地のアナ、解説者の実況を聞いていたが、笹生プロの鉄壁のプレーを絶賛していた。日本人の父親、フィリピン人の母親を持つ笹生プロはまだ22歳の若さ。これからどれだけ勝利数を重ねるか楽しみだ。しぶこちゃんも随所で粘りのプレーを見せ、通算1アンダーで2位に食い込んだ。彼女は笹生プロの一つ後の組でプレーしており、プレーを待つ間に笹生プロのグリーン上でのパットを応援するすがすがしい光景がテレビ中継で流れた。現地のギャラリーもしぶこちゃんのシンデレラスマイルに魅了されていた。
 アメリカを舞台にした女子ゴルフはこれまで韓国勢の活躍が目立っていた。日本勢は正直、特に最終日のプレーがひ弱な印象だったが、笹生プロやしぶこちゃんの奮闘は応援のしがいがあった。最終日のリーダーボードを眺めると、上位11人のプロのうち、日本人の名前が5人も。男子プロの低迷をあざ笑うかのような活躍だ。サッカーにバスケット、バレー、卓球。男どもは大和撫子(我ながら、何という呼称!)を見習うべきか!

Home > 総合 > 久しぶりのしぶこスマイル

Search
Feeds

Page Top