- 2024-05-23 (Thu) 21:05
- 総合
定期的にオンラインで届いている米高級誌「ニューヨーカー」は、お気に入りのコラムニストの記事以外は目を通すことはあまりない。一本一本の記事が長くて、まともに読んでいればかなりの時間を割くことになる。
“How to live forever” という見出しの記事を先週末に見つけた。「永久に生きる」ってどういうこと? そろそろ終活に入ってもおかしくない我が身としては興味津々、これは読もう。記事を印刷して読んだ。A4の紙で14枚程度。結構読み出のある量だ。この雑誌に30年以上勤務するベテランの男性ジャーナリストが筆者だった
こういう食生活を心がければ、あるいはこういう運動を実践すれば、健康な長寿を手にすることが可能ですよとかといったものではなかった。それでも面白く読んだ。筆者は記録魔というか家族の例えば息子や娘の成長の跡がうかがえる日記(三日坊主で終わっていることがしばしば)や作文、親しい家族・親類間の手紙のやり取りなどをファイルして残している。友人との手紙やEmailのやり取りも捨てることはせず、特に興味深い一言が書かれているものなどはきちんと整理して、いつでもそれが取り出せるようにしているとか。
“How to live forever” という主見出しに続く袖見出しは “The simplest, most foolproof way to extend life is to do so backward, by adding years in reverse.”(寿命を伸ばす最も簡単で誰にもできるやり方は過去を巻き戻すことにある。過ぎ去った歳月を付け加えていくことだ)。自分が生きて思ったこと、口にしたことを書き留めておけば、自分がどういう人生を生きてきたのかを明確に残せる、示せることができるのではないか、それが長生きにつながるという考え方だ。
凡庸なる頭脳では分からないことは多いのだが、筆者の主張していることに賛同したい気がする。というのもつい最近、かつて全国紙の記者として八王子支局に勤務していた頃の後輩であるS君からメールが届いた。40年ぶりぐらいの「便り」だ。
私は新聞社を早期退職して、アフリカの紀行本を書くために旅していた2010年、タンザニアという国で携帯電話を盗まれた。携帯には新聞社時代の先輩同僚後輩の電話番号が登録されており、連絡方法が途絶えた。その後、先輩同僚の中には他界された人もいて、東京本社から送られてくる社報でそうした方々の訃報を知る不義理の日々となった。だから、S君のメールは嬉しかった。
話が横道に逸れたが、S君はメールに私との思い出を添えていた。おそらく40年前、とあるスナックで宴の後のカラオケに興じていて、H先輩から歌うことを求められたS君が歌うことを拒絶した。私は「S君、Hさんは皆と楽しくやりたいので、君にも歌うことを勧めているのだよ」と諭したとか。このエピソード、私は全然覚えていない。私にS君に歌うことを強いる権利などない。大きなお世話ではないか。きっと酔っていたのだろう。
“How to live forever” を読んで、自分の言動を、例えば30歳の頃からでもいい、記録していれば、後年、それを読み返せば、人間としての成長の跡、いや、成長していないことが分かる証となるのではないか・・などと思った次第だ。S君によると八王子会の集いが企図されているとか。うーん、東京は遠い、遠く感じる地となってしまった。
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