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台湾からナイロビまで

  • 2024-03-02 (Sat) 19:02
  • 総合

 YouTubeにはまっていることは既に何回か書いたかと思う。大リーグやプロ野球中継がシーズンオフなのでテレビをつけない日はあっても、パソコンを立ち上げYouTubeを見ない日は皆無。それほど私の日々の生活には欠かせない存在となっている。これがいいことかあまり好ましくないことか正直分からない。社会評論家の大宅壮一氏がかつて危惧した日本国民の「一億総白痴化」はテレビを念頭に置いた警告だった。大宅氏も平成・令和の時代の今のYouTube隆盛までは視野になかったことだろう。
 最近よく見ているのは日本人の若者が一人で海外を旅してグルメを中心にアップしているYouTube。無邪気というか楽天的というか、さまざまな国々の街を臆することなく歩いている彼の珍道中は見ていてなかなか面白い。コメント欄を見ると、数多くの固定ファンを引きつけているようだ。今はケニアを旅していて、日曜日には現地からライブ配信するとか。ケニア国内の動物サファリの様子を生配信するものと思われる。
 彼がナイロビに到着した時の配信を先に見たが、懐かしいナイロビの街並みが流れ、楽しく見させてもらった。私がナイロビを最後に訪れたのは2010年だからもう14年も昔のことだ。私一人で楽しむのはもったいないと思い、新聞社のナイロビ支局で勤務していた当時(1987-1990年)からの付き合いがある何人かの友人に「懐かしい光景が見られるかも」とラインメールを送った。
 笑ってしまったのは彼がナイロビのホテルにチェックインした後、近くのレストランで食事しようとして、びびりまくりながら通りを急いでいた時の様子。彼が抱いていた恐怖感が画面から伝わってきた。本当は笑えない話だ。そうした怖い思いを隠すことなく正直にレポートしてくれる姿勢には好感を抱いた。この種のYouTuberに見られる「上から目線」の尊大さもなく、見ていて不快な気分にさせられることもほとんどない。彼は直前には台湾からもレポートしているようだ。懐かしいケニアはおいそれとは足を運ぶことはできないが、大好きな台湾ならばその気になればすぐに飛べる。近く再訪したいと考えてもいる。ぜひ参考に見なくてはと思っている。
 さて、ナイロビに巻き戻そう。ナイロビの街が依然、外国からの旅人には「危険」な地であることは上記のYouTubeからもよく分かった。私にしても今ナイロビを訪れたなら、たとえ日中でも一人で街を歩く勇気はない。仕事がなく、将来の展望もなく、不満を募らせている若者たちがたむろする街を一人で歩く行為は、ひったくりあるいは強盗の格好のカモ。そうしたことが十分に予測できる街を気ままに散策するのは蛮勇でしかない。
 それにしても、私がナイロビ勤務を終えてから34年。あの当時もさすがに夜間は街を一人で歩くことはできなかったが、日中ならそう危険を感じることなく街を歩くことはできた。日本を始め普通の国なら普通にできる行為ができないのは残念だし悲しい。紀行本『ブラックアフリカをさるく』を執筆するために2010年にケニアを再訪した時も複雑な心境になったが、治安状況は一向に改善していないようだ。一番辛い思いをしているのはナイロビにそしてケニアに暮らす庶民の方々だろう。煎じ詰めれば政治腐敗・堕落が諸悪の根元か。どこかの国の国政も目を覆いたくなる惨状を呈しているようだが・・・。

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